お邸の前に寄り道を
「あら!いらっしゃい、アリア。」
カランと音がなる扉を開けると、ティアさんが嬉しそうに笑顔で迎え入れてくれた。
お祖母様とティアさんが挨拶を終えると、私とリオンが先日のプレゼントのお礼をする。
「「素敵なお洋服をありがとうございました。」」
笑顔で感謝を伝えれば、嬉しそうに笑顔を返してくれるティアさん。
「リオン君とリリアちゃんのおかげで、また服を作るのが楽しくなれたの!私こそ、ありがとう。」
ティアさんの笑顔は本当に楽しそうで、私も嬉しくなった。
「今日は、アレスの服をお願いしたいの。」
お祖母様は後ろにいたアレスの肩を抱き、ティアさんへと紹介した。
「初めまして、アレス・ハインツです。訳あってクリスティア家にお世話になる事になりました。」
アレスは丁寧な礼をすると、ティアさんは嬉しそうに微笑んだ。
「まあ!初めまして、裁縫師をしているティアです。よろしくね」
ティアさんはアレスの耳と尻尾に気付いてるはずなのだが、顔色一つ変えなかった。
「じゃあ、早速だけど採寸だけしちゃうわね。はい、リリアちゃんにはこれを!」
ティアさんは何故か私に数枚の羊皮紙を渡した。
私は首を傾げる。
「アレス君も一緒に暮らすのなら、服のデザインは二人に合わせた方がいいでしょ?だから、リリアちゃんにも手伝ってもらおうと思って。」
採寸してる間に考えといてねとお願いされてしまった。
確かにお出かけなんかも一緒だから、合わせた方がいいような気もする。
私は先日の双子ファッションの服を思い出しながら数枚のデザインを考えた。
すると、採寸を終えたティアさんが後ろから覗き込んでくる。
「あら!もうそんなに出来たの?」
羊皮紙を見ながら、ウンウンと頷くティアさん。
どうやら良さそうな気がする。
「5着ぐらいでいいかしら?一週間ほどでお邸に持っていくわね。」
「そ…そんなに直ぐにですか?僕のはちょっと特殊というか…大変じゃないですか?」
服を整えながら、アレスが驚いて聞き返すとティアさんはふふっと笑った。
「こう見えても昔は、ちょっとは有名な裁縫師だったの!獣王国からも何度か依頼がきたわよ?」
そう…幻の裁縫師と言われるティアさん。
世界各地から依頼がきていた事もあったとか…
なるほど、だから驚かなかったのか!
「じゃあ、宜しくね。」
「ええ、素敵なのを作ってお持ちするわ!」
楽しみねとティアさんとお祖母様は話をすると、お店を後にした。
「さあ!お昼も近いし、お邸に帰りましょう!」
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