脳内が駄々漏れなようです。
小さい声で独り言を呟いたつもりでいたけども、どうやら聞かれてしまっていたらしい。
なんて返そうかと悩んでいるとリオンは抱きしめた腕を離し驚くべきことを口にした
「リリアは気づいてなかったけど、ボクたちは心の声も共有できるんだよ?」
「えっ!?」
心の声、駄々漏れじゃんっ!
あれか?これが双子の不思議なのか?多少の意思の疎通なんてレベルじゃなくて異世界はそこまで出来るのか?
待って…今の思考も漏れてるってことか?
「全部じゃないけど…強い気持ちは聞こえてくるよ?
そうじゃなきゃ普通は扉越しに呟かれた声までは聞こえないからね」
「そう…なのね。リオンはいつから気づいたの?」
驚きを隠せないまま、リオンはいつから知っていたのか気になって聞いてしまう
だって、駄々漏れはまずいでしょ!
「んー?いつの間にか気づいたら…かな?喋ってないのにリリアの声が聞こえるようになったんだ。
リリアも聞こえるはずだから、話しかけてみるね」
そういって互いに口を噤む。
『リリア、聞こえる?』
リオンの声は耳ではなく、頭に直接響くように聞こえてきた
『ボクが目覚める前に不思議な夢を見たけど…リリアの夢だったのかな?』
私の夢をリオンは共有してしまったらしい
見たこともない世界がリオンには不思議なんだろうなと思う
「私の夢…私の前の世界の夢だよ」
リオンの顔を見ながら声に出して答えた
「前の世界?あのお姉さんがリリアなの?」
「そう…立花 葵という女性で、28歳なのに結婚も出産もしてなかったの。」
この世界で28歳の独身は有り得ないほど珍しい。
前世では、私の周囲の女性は何故か結婚が遅くて特に気にもならなかった
「リリアは…リリアじゃなくなったの?」
「ううん。ちゃんと今までのリリアの記憶もあるよ。ただ、思い出しただけなの」
そうリリアとしての人生は変わらない。
変わったのは前世の記憶がプラスされただけだ。
「よかった。」
リオンは変わらない私に安堵してくれたようだ。
私にとっては祖父母もリオンも今までと変わらない
とても大好きな存在なのだ。