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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第1章 私リリア!7歳になるの。
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やられる前にやる


「ご機嫌よう。クロード殿下、今日はジュード殿下はご一緒ではないのですか?」

相変わらずの彼女は私たちには見向きもせず、お兄様とクロード殿下に声をかける。

お兄様は少し面倒臭そうな顔をした…ように見えたのは気のせいではないだろう。


「ジュードは今、婚約の儀を行っているよ。」

なんでもないように話すクロード殿下の言葉に、マリナ様は理解が追いつかないのか首を傾げる。


「婚約の儀?私は呼ばれてないのですが?」

「ああ、そうだろうね。リーマスの妹君との婚約なのだから。」

クロード殿下はニッコリと笑い淡々と告げる。

本当に腹黒いお方だ。


「ど…どういうことですの?」

彼女は吃驚した顔をし…そして近くにいた私に気づいた。

するとすごい形相で睨みながら私に詰め寄る。


どうやら妹と聞いて私だと思ったようだ・・・。


ーーーーーーパシンッ!!


次の瞬間、私の頬に彼女の手が振り下ろされた…

私はそれを避けて持っていた扇子で払い除けた。


思いっきり振り下ろされた手を扇子で叩き落とした衝撃は酷く、マリナ様は手首を抑えて蹲った。

突然の事にお兄様達は慌てて私を背に隠し、マリナ様との間に割り込む。


「何をしますの!?」

マリナ嬢は手を摩りながら私の方を再び睨む。

こちらのセリフだ。


「それは僕達のセリフだよ。リリアを叩こうとしたよね?」

お兄様が代弁してくれる。

「叩いたのは、その子の方ですわ?」

ふんっと鼻を鳴らし文句を言うマリナ様。

自分は悪くないと…?

ほぉ…私が悪いと?


お兄様の肩を叩き、横に寄せるとマリナ様の前に立つ。

何故かリオンも私の横に来た。


「手に持っていたのが扇子で良かったですわ。」

私はにっこりとマリナ様に微笑む。

マリナ様は訝しげに私を見た。


「本当だね、手に扇子を持っていなかったら…彼女の手は今頃は無くなっていたかもしれないね。」

リオンもにっこりと微笑んで、恐ろしい事を話し出した。

マリナ様は意味が分からないと更に眉を顰めた。


「ーーー我を守りし風よ!ーーー」

次の瞬間、私の持っていた扇子が真っ二つに切れる。

マリナ様は魔法を見て呆けていたが、次第に顔の血の気が引いていった。


「扇子を持ってなかったら、防衛の為にうっかり魔法を発動させちゃうところでした。」

てへっと笑うと、リオンも「もぉー仕方ないなぁ。」と言いながらニコニコと笑っていた。

そして…

「良かったね、でも気をつけないと返り討ちにあっちゃうよ?」

リオンはそれはもう美しく可愛らしい最高の笑顔でマリナ様に微笑んだ。


「現在、ジュード殿下は婚約の儀の最中です。お相手が私なら此処にいるはずが無いと思いませんか?」

ん?馬鹿なのかな?と付け加えるのを喉元で何とか止める。

マリナ様は吃驚した顔をしたから、今まで気づかなかったようだ。


「ところで、公爵家に喧嘩売ってる自覚ってあるのかな?」

後ろからお兄様が参戦した。

「此処は王城で、この場にはクロード殿下もいる。この出来事は宰相である僕達の父の耳にも入るだろうから覚えておくといいよ。」

更にお兄様は止めを刺した。


マリナ様は座ったまま動かなくなったので、私達はその場を離れる事にした。


「お兄様、リオン、ありがとうございました。」

私を庇ってくれた方々に感謝の言葉を伝えると、いつもの優しい顔に戻ったお兄様が頭を撫でてくれる。

リオンは横から抱きしめてくれた。


その様子を見ていたクロード殿下も近寄って触ろうとしたが…

お兄様に止められてしまった。


「おい、リーマス。良いだろうハグくらい!」

「ハグ!?ダメに決まってるでしょう!」

頭を撫でようとした訳じゃなくてハグしようとしてたのか!?


「リリア、大丈夫?どこも痛くない?」

リオンはぎゅうっと腕の力を強めて心配してくれる。

「うん、大丈夫だよ。」

私もリオンを抱きしめ返すと、えへへっと互いに笑い合う。


「風の魔法が使えるのだな。」

クロード殿下は私が魔法を使える事に驚いたらしい。

「本当は…魔法よりも手が出そうだったんですが…」

私は人差し指で頬を掻き苦笑いを浮かべる。

クロード殿下もお兄様も首を傾げた。


「王城でしたので、刃物はマズいと思いまして…扇子を持っていて良かったです。」

「…え?刃物?」

更に不思議な顔になるクロード殿下とお兄様。


そうなのだ…

魔法の発動には詠唱がある分、手間取るから…咄嗟の時は剣を出しちゃうのだ。

そう説明すると、剣を持っていないのにと不思議がるので許可を貰い出す事にする。

ついでにリオンのも見たいと言うので二人で出す事になった。


地面を靴の踵で踏み鳴らすと“神に愛されし者“の証の魔法陣が現れ、手にはお祖父様に頂いた剣が握られる。


“神に愛されし者“であるお祖父様から、私たちが“神に愛されし者“と知らされる前から教えてもらっていた。

普通は剣は腰に吊るしておくものだが、子供が持っているには違和感しかない。

因みに魔法陣には何でも収納されるわけでは無いそうだ。


魔法と違い発動まで1秒という速さ。

魔法も早く無詠唱で出来るようになりたいな…と色々と考えている私は気付いていなかった。


目の前のクロード殿下とお兄様が口を開けたまま固まっていた事にーーーーー


ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

今日は頭痛に悩まされておりますので、文章がおかしかったら申し訳ございません。

後日、改めて確認します。

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