心地良い眠りと肩越しの恐怖
「この後はどうするのかな?」
私たちも部屋へと戻ってきた。
今日はリオンの部屋で寛ぐことにした。
本来なら、この後はお勉強の時間になる。
だが、今日はお祖母様から何も聞いてなかった。
お茶の準備をしたアリーが戻ってきたので聞いてみると、今夜はお祝いするのでそれまでは休んで良いそうだ。
途中でお昼寝を挟まないと昨日みたいに眠くなってしまうかもしれない。
お茶を飲み少し読書をしてからお昼寝をする事にした。
私達の読書はいつもは歴史書か有名な文学作品が多い。
だけど今日の読書は今朝お祖母様から頂いた魔導書にした。
どんな事が書かれているのか楽しみで仕方なかったのだ。
リオンも目をキラキラさせて魔導書を開いていた。
魔導書は属性別に書かれていて、とても見易かった。
各属性の最後の方には高難度の魔法まで記載されている。
発動させれば国が滅びそうな勢いだ…お祖母様はどこまで私たちを鍛えるつもりなのだろうか…
そして別冊子の魔法薬には傷薬や回復系の薬から、何故か媚薬やら毒薬やらも書かれている。
難易度が上がるにつれ、状態異常ポーションやら完全回復ポーションまで記載されていた。
本当に…お祖母様は私達をどこまで鍛えるつもりなのだろうか…
魔導書を閉じると体もリラックスしたのか眠気が襲ってきた。
私とリオンはリオンのベッドに二人で入り昼寝することにした。
広くてふかふかのベッドは心地良い。
手を繋ぐと直ぐに眠気が襲ってくる。
ーーーーそして意識を手放した。
何度目かの寝返りを打つと、直ぐ横に人の気配を感じる。
まだ眠たい目を擦りながら寝ぼけてリオンの名前を呼ぶ…
返事がないので不思議に思って薄っすらと目を開けば、目の前にはお兄様が居た。
吃驚して息を飲むとお兄様はにっこりと笑った。
「おはよう、そして…ただいま。」
「お…お帰りなさい。」
なんとか返事をすると、お兄様はふふふっと嬉しそうに抱きついてくる。
すると後ろからはリオンが私を抱きしめてきた。
「お兄様、お帰りなさい。…おはよう、リリア。」
むぎゅっと抱きしめられた私はサンドイッチの具の様だ。
身動きが取れなくなってしまったが、嫌ではない。
暫く抱きしめられていると、お兄様の肩越しにドアが開いているのが見えた。
お兄様が入って来た時に開けたのだろうと思っていると、ドアの向こうで何かが動いているのが見える。
目を凝らせば、それはリナリアだった。
リナリアは入ってくるでもなく、此方を凄い形相で睨んでいた。
ドレスのスカートをギュッと握り締め、私を睨む目がとても4歳とは思えず怖かった。
私の異変に気づいたリオンが身を起こし私の目線の先を覗く。
リナリアが居ることに気づきリオンもビクッと肩を震わせた。
お兄様も気づいたのか、抱きしめていた手を緩め振り返りリナリアに気づく。
気づいたものの無視をして、再び私を抱きしめた。
おいっ!そこはリナリアを何とかしてよ…
と心でツッコミを入れてると、いつの間にかリナリアは居なくなっていた。
その後、アリーが起こしに来てくれるまで二人は私を離すことはなかった…
身支度を整えるため部屋に戻ると、マリーからは「学園に通い始めたら止めましょうね?」と凄く良い笑顔で言われたのでしっかりと返事をしておいた。
確かに兄妹とは言え、淑女にあるまじき行為なので止めようと思う。
思うけども…お兄様とリオンは止めてくれるのだろうかとも思ってしまった。
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