家族みんなで朝食を
鍛錬を終えた後、お祖母様からは出かける予定がある事を告げられた。
私室に戻ると侍女のマリーが既にお出かけの準備を整えており、すぐに着替えとヘアースタイルを変えて貰った。
今日のドレス風ワンピースは今までに見た事が無い物で、ワインレッドのベルベット生地でゴシックロリータに近いドレスは前世で見た衣装を思い出させた。
いつもは淡い色合いが多かったのに…とても珍しい。
身支度を整えると、まずは皆さんで朝食をとダイニングに行くように言われ部屋を出た。
廊下には何故か揃いの服を着たリオンが待っていた。
「やっぱり、お揃いだね!僕の侍女のアリーが教えてくれたんだ。」
リオンは嬉しそうに私の手を繋いでダイニングへと向かう。
私もお揃いが嬉しくて、思わずニコニコしてしまう。
ダイニングに入ると祖父母が既に席についており、私達の服装を見たお祖母様が嬉しそうに笑った。
「よく似合っているわ。この間、リリアが仕立てをお願いした時に一緒に頼んでおいたの。」
「「ありがとうございます」」
嬉しいサプライズに思わず笑みが溢れる。
これはティアさんが考えた私たち双子のためのオリジナルデザインだそうだ。
私が依頼したのよりも素敵で、やはり幻の裁縫師は違いますね!
「おはよう。リオン、リリア、今日も可愛いね!」
お兄様は眠そうに入ってくると、私たち双子を見て笑みを溢し褒めてくれる
「「おはようございます」」
挨拶を返していると父母とリナリアもダイニングに揃う。
「おはよう」
「「おはようございます」」
朝から元気いっぱいのリオンと私に驚きながら、席に着くと朝食を摂り始めた。
静かに朝食を食べる中、母の腕で眠っていたリナリアが突然に起き出した。
かと思えば、目の前の母の朝食を奪うように食べ始める。
ほぼ手掴みで食べ、足りなかったのか横にあったリナリア自身の朝食もペロッと食べた。
王都の邸に来て一番吃驚したのがリナリアの食欲だった。
4歳の体にどれだけ入るんだと思う程の食事量で、初めて見た時は食事をする手を止めてしまったほどだ。
食べるのもそうだが、食べ方にも驚いた。
手掴みが殆どで、あとはスプーンしか使わない。
私もリオンも吃驚しているのに、他の者が気にも止めずに食べてる事にも驚いた。
問題の侍女が居なくなったからと言って直ぐには対処できないにしても、両親は何も言わないのだろうかと不思議で仕方ない。
心配になるほどの量と食べ方に今日も思わず手を止めてしまった。
そんな事は気にする風もなく祖父母は今日の私たちの予定を両親に話し始めた。
「来年には学園に通うリオンとリリアを今日は教会に連れて行こうと思う。」
「あっはい!父上、母上、よろしくお願いします。」
どうやら事前には話していたのか、すぐに会話は終了した。
この世界では7歳から10歳までの間に教会に行き、ステータスボードを発行してもらう。
身分や経歴の他に魔力の測定や神からの加護などを記した個人カードのような物だ。
それがあれば10歳からギルドへ所属する事が出来る。
学園に入る場合には身分証の代わりにもなるので、殆どの貴族は学園の入学前に発行してもらうそうだ。
朝食を終えた私達は早速、馬車に乗って教会を目指した。
好奇心を抑えきれずにいると横のリオンも同じなのか凄くワクワクしてるように見える。
「楽しみだね」
そう声をかければ嬉しそうに頷いた。