お祖母様からの贈り物
「さて、今度は私からね!」
ふふふっとお祖母様は嬉しそうに前に出るとリオンと私に一冊ずつ本を手渡した。
見るからに魔導書である。
映画とかで見るような重厚そうな魔導書だが、見た目より重くないことに吃驚する。
「門外不出よ?私の魔法の全てを書いておいたわ」
「「あ…ありがとうございます!」」
おうふっ…驚くべき発言に思わず落としそうになるのを何とか堪えてお礼を言った。
お祖母様は魔法省でも有名な魔術師だった…その全てとなると、魔術を極める者ならば喉から手が出るほど欲しい逸品だ。
さらっと7歳の誕生日プレゼントにするには規格外すぎる。
「まずは所有者を設定しなければね、血を一滴だけ垂らして魔力を込めてみて?」
お祖母様に言われ、先ほどの傷口を軽く押し血を垂らす
そして魔力を込めた
魔導書が一瞬輝き、ゆっくりとページが捲られる。
最初のページにはサインもしていないのに、私の名前が刻まれていた。
「これで他の者は開けもしないわよ。ページを捲ってみて分かるように後は白紙!これは貴方達が埋めていくページになるわ」
魔導書の後半三分の一くらいが白紙のページになっている。
そして何故か中には小さい冊子も入っていた。
ペラペラと捲ると魔法薬のレシピになっている
「魔法薬は数が少ないから別冊子にしたわ。特別な紐で繋がっているから離れる事もないわよ」
ニコニコと自慢げに説明してくれるお祖母様。
中々の出来なのって声が聞こえてきそうだ。
剣といい、魔導書といい…祖父母は一体どんだけ凄いんだと慄いてしまう。
「学園までは1年も無いから、それまでに学びきりましょうね。」
「うむ、来年の9月には学園が始まる。寂しくなるな…」
お祖母様はさり気なくスパルタ発言をし、お祖父様はしょんぼりとした顔で寂しさを全面に出してきた。
寂しくなる…確かに、祖父母と離れると思うと寂しい。
「学園が始まっても休みは領地のお邸に行って良いですか?」
リオンが小さい声で呟いたのを聞いて、私も頷く。
「領地まで馬車で半日もかかりません!リオンと私で必ず会いに行きます!」
「うん!」
私とリオンは宣言し、寂しそうにする祖父母に抱き着いた。
「もちろん、おいで」と祖父母は嬉しそうに頭を撫でてくれる。
その後、抱擁を終えた私達は早速スパルタ教育を受けるのであった。
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