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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
313/318

どうやら違ったみたい

昨日投稿の313話を全て書き直しました。

丸っと全て違います。

改めて…完結です。

国王陛下方と会談してから数日後。

三ヶ国の国王陛下が各国の国民に対し、此度の事件の概要及び終息を宣言した。

表立って出ていなかった事件ではあったが、その刑罰や賠償は国民をも巻き込む形となった為…開示した。

一部の国民が暴動を起こすかという不安は、国王陛下が包み隠さず刑罰の内容まで全てを曝け出した事で霧散したようだ。


そして、私達には平穏な学園生活が戻った。

……いや、平穏かどうかは分からない。

まだ何かあるかも知れないと、ドキドキしながら…それでも青春を謳歌し充実した日々を送った。


クロード殿下は高等部を卒業すると同時に、王太子に任命され…暇をみてはクリスティア家へお茶を飲みに来て愚痴っていた。

私達が国王陛下に助言した事で、思惑と外れ早急に決まってしまったと…それはもうネチネチと言われた。

王太子補佐として王城勤務となったリーマスお兄様は、王城を抜け出したクロード殿下を見つけては毎回ドナドナして行くまでがセットだ。

愚痴る割に楽しそうだと私とリオンは毎回、苦笑しながら見ている。


妹のリナリアはリシェ様の元に嫁ぐまでに色々とやる事が多く、学業と両立が大変だと溢していた。

だが、その顔は明るく…たまに綻ぶところを見ると嫌ではないのだろう。

遠く離れた土地に嫁に行くのは心配だが、リナリアの事だからリシェ様の手綱をしっかりと握るのだろう。

尻に敷かれたリシェ様が容易に想像できる。


十数年後に引退する聖女様の後継には既に、次期聖女として育てられている少女がいるらしい。

早く引退したい聖女様は、その少女の教育に熱心なのだとか。



高等部三年生の春、事件の報償として各国の国王陛下から私達の元に目録が届けられた。

どんな内容なのかとドキドキしながら中を見ると…隣国の国王陛下方からは日付けのない招待状が入っていた。

『新婚旅行に立ち寄った際は是非、王城で晩餐をーーー』の一文に思わず固まったのは言うまでもない。

因みに自国の国王陛下は『世界の穀物の種』と書かれており、何事かと疑問に思ったが…注文用紙が同封されていた事で納得した。

どうやら欲しい穀物があれば国王陛下が探してくれるようだ。

“穀物”限定なのには恐らく…聖女様の思惑が絡んでいるように思う。

お米を探して欲しいんだろうな。



さて、そんな訳で高等部の卒業を控えた私達はクリスティア領に来ている。

初夏の爽やかな風が流れ、どこまでも青い空が広がっている。

梅雨の晴れ間…今日は私達にとって特別な日。


そう…今日、私とアレスは結婚式を挙げる。


いや、私とアレスだけでは無い…リオンとキャティ様も一緒だ。

ダブル挙式を望んだのは意外にもリオンの方で…将来、二人で領地を継承するのだからと懇願された。

リオンの気持ちが嬉しかった私はすぐに了承すると、今度はアレスに同じように懇願する。

その真剣な様に、アレスは苦笑しながら「勿論いいよ!」と了承していた。



教会の控え室…そこに顔を出したのは本日、神父の代わりを務める聖女様だった。

「リリア、リオン、おめでとう!今日はよろしく頼むよ。」

「「ありがとうございます。」」

ここは私とアレスの控え室なのだが、何故かリオンは我が物顔で座っている。

キャティ様が着替えているところを見られたくないと、追い出されたそうだ。


「そうそう、リリアにプレゼントがあるんだった。」

そう言って聖女様は新聞を手渡してきた。

それを受け取り…私は一面を見て絶句する。

今日の日付の遠く離れた帝国の新聞…その一面を飾ったのはまさかの皇太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動!?

慌てて内容を読む私に、聖女様はニヤニヤっと笑う。


「本当の意味でおめでとう、リリア。どうやらリリアは悪役令嬢じゃなかったようだね。」

「「…………え?」」

私達の遣り取りを見ていたリオンとアレスが驚愕の表情で声を漏らし、バッと私に振り返る。

それすらも気づかず、私は紙面に目を走らせる。

……これは紛れもない婚約破棄イベント…婚約破棄を言い渡された公爵令嬢の姿絵も載っており、その目は私よりも鋭く…お世辞にも綺麗とは言い難かった。

更に婚約破棄に至ったとされる理由は、皇太子と仲が良かった令嬢への嫌がらせが度を過ぎていた事だった。

まさに、よくある感じの婚約破棄イベントだ。


「え…っと…え?どういう事?……この見た目で私は悪役令嬢じゃなかったって事?前世の記憶まであるのに?……なんで転生したの、私!?」

自分の存在意義が分からず…挙式を前に大パニックに陥る私。

そんな私に冷静にツッコミを入れたのはやはり、リオンだった。


「見た目って…リリアは僕の見た目にケチをつけるの?僕達そっくりなんだよ?こんなに愛らしい僕達が悪役な訳ないじゃん!」

「そこかい?そこなのかい!?」

リオンがプクーッと膨れていると、聖女様がまさかのツッコミを入れる。

どんだけナルシストなんだよ…と。


「リオンの見た目は置いといて…」

「え?アレス何言ってんの?なんで置いとくのさ!」

アレスが私に寄り添い話しかけるのを、リオンが頬をプクプクさせて怒る。

それに苦笑し「ごめん。」と返したアレスは、私へ向き直った。


「リリアは可愛いよ?確かにキリッと凛々しい目元だけど、それはキツいって事じゃない。眼差しがとても優しいし、とても愛らしい。頬もほんのりピンクで、口元もふっくらとしていて…思わずキスしたくなる。」

頬をゆっくりと撫でるアレスに、私は口をパクパクとさせ…固まった。

なんで…突然、口説き出すんだ!?


「アレス…僕の事もそんな目で!?」

「見てないから安心して!!」

隣でリオンがドン引きするのに対し、間髪入れず否定すると…チュッと頬に唇を落とされた。

「続きは本番で!」

片方だけ瞼を閉じたアレスに私は見事に撃沈した。



「前世の記憶はきっと不幸な死を遂げた事への神様からの贖罪なんじゃないかな?それと、加護も関係あると思う。リリアの知識が領地を豊かにしてくれる…そして僕達が力を合わせる事で領地を守り、安寧に導くんだよ!」

「そうだね、リオンの言う通りかも知れないね。」

リオンの力強い言葉に、同意するように頷く聖女様。

それもそうかもしれない…と、納得しちゃうのはきっと…リオンの言葉だから。


まだ見ぬ未来の為に精一杯、頑張ろう!

それが私、リリア・クリスティアだ!



ーー完ーー

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

うっかり…タイトル回収を忘れましたので、丸っと書き直しました。

一応、前書いたものよりは納得してます。

気になる所は今後、修正するかもしれません。


約十ヶ月、毎日のように更新したお話も無事に最後を迎えました。

(書き切れてない部分は番外編で更に書きます)

書き始めた当初は五十話くらいで終わると思ったんですけどね…まさかの313話。

長きに渡り、拙い話にお付き合い頂いた皆様には感謝しかありません。

沢山の評価と感想、ありがとうございました。


後日、同作品内でリナリアの番外編を書く予定です。

今暫く、お付き合い頂ければ嬉しいです。

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