スケジュールがいっぱい
王都に戻る途中、休憩を取っていれば聖女様の使い魔が姿を表した。
突然の事だった為、ジン様とビルショート様が攻撃しそうになるのを慌てて止めた。
身の危険を感じたトニーは物陰から此方を窺っているので、私は両手を広げ受け入れる体制を取る。
暫くすると警戒しながらも近づいて来てくれた。
トニーは手紙を私に渡してきたので、いつものようにお菓子を返す。
嬉しそうに私に頬擦りし…帰って行った。
…帰って行ったという事は、この手紙に対する返信は不要なのだろう。
トニーが帰ってからも暫くは休憩を続けるようなので、私は受け取った手紙を開いた。
ーーーーーリリアに客が来てるよ。
明日、時間を作って教会に顔を出しな。
クロードとジュードも連れて来ると良いーーーーー
……え?これだけ?
三行だけ?
って、明日!?
殿下方の都合とか…大丈夫かな?
「え?それだけ?」
私の横に座っていたリオンが手紙を覗き込むと、ポロリと呟く。
…人の手紙を盗み見しちゃダメでしょ!
「あー…ちょっと、相談して来るね。」
リオンの言葉をスルーし、私はエドモンド様に近づく。
それに気づいたエドモンド様は顔を上げて私を見た。
「少し…ご相談がございます。」
何て切り出そうかと悩みながら声をかければ、エドモンド様はコクリと頷いた。
話をしても良いって事で…良いのかな?
「先程、聖女様から手紙を頂き…そこには明日、クロード殿下とジュード殿下と共に教会に来るようにと書かれてありまして…。お二方のご都合はいかがでしょう。」
…多分だけど、エドモンド様なら何とかしてくれるだろうと思って問いかける。
エドモンド様は少しばかり俯き、暫しの沈黙の後…顔を上げた。
「…気づいていたか。ふむ…明日の何処かで時間を作るよう伝える。」
「ありがとうございます。」
エドモンド様は殿下方から連絡させると付け加えると、そろそろ出発しようと立ち上がった。
一連の事にジン様とビルショート様は苦笑いを浮かべていた。
『ねぇ、なんでエドモンド様に相談したの?』
馬車のサイドに私とリオンが移動すると、リオンがテレパシーで話しかけてきた。
それに対し、私は首を傾げる。
てっきりリオンも気付いていると思っていたが、そうでは無かったらしい。
『殿下方のお父様だからスケジュールの調整くらい出来るかなって思って。』
私の言葉にリオンからの返事は来なかった。
代わりに…馬車の反対側で「えぇ!?」と驚きの声が聞こえてくる。
暫くすると再びテレパシーで『帰ったら話があります!』と少し怒ったように言われてしまった。
……何故、怒るんだリオン。
気付いていると思ったんだよ…。
いつもは私よりも鋭いじゃない!
そして、その出来事以外は特に何事も無く…予定通り陽が沈む前には王都の城門前に到着できた。
馬車の窓からエドモンド様が顔を出し、私とリオンに「二日間、ありがとう。」と声をかけると…馬車は城門を潜り王城へと向かって走り出した。
私達の護衛は此処で終了だ。
近日中に冒険者ギルドに報酬をもらいに行こう!
…時間、あるかしら?
今更ながら自身のスケジュールがパンパンになっている事に気づく。
…なんで、こんなに忙しいかな!
もっとゆっくりしたーい!!
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