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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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誓い

「さて、新しい複合魔法によってエスティアトリオ王国とオステリアの国境の塀に穴を空けた犯人が分かった訳だが…チャミシル!今後の対応について聞きたい。」

再び空いた穴をチラリと見たエドモンド様がチャミシル辺境伯へ向き直り問いかけた。

……ふむ。


「はっ、私は娘に事実確認を行った後…娘に罪を償わせたいと考えております。その時は爵位も返上したく存じます。」

片膝をつき、頭を下げ…チャミシル辺境伯はエドモンド様に答える。

その姿に…何となくエドモンド様が何者なのか察する。

…お父様が慌てる訳だわ。


「爵位の返上…か。チャミシル、其方は昔…私に誓った事を忘れた訳ではあるまい。」

仮面の下でどの様な表情をしているのだろう。

そんなエドモンド様に、頭を下げたままチャミシル辺境伯は答えた。


「無論…私が辺境伯の地位を賜った際に貴方様に誓った事は、今も胸に刻んでおります。そしてそれは生涯、変わる事はございません。」

どこか苦しげに話すチャミシル辺境伯。

…自分は変わらず彼に忠誠を誓っているのだと…。


「しかしながら、私の娘の罪は私の責任でもあります。」

スッと顔を上げたチャミシル辺境伯の瞳には強い意志を感じる。

だが、そんなチャミシル辺境伯にエドモンド様は首を振った。


「裁判の結果によっては其方にも罪を償ってもらうが、其方から爵位を奪うつもりはない。其方以外にこの地を治められる者はおらぬからな、今以上に励め!」

「……はっ!」

エドモンド様の言葉に、目を潤ませるチャミシル辺境伯。

……一見すると優しい言葉に聞こえるけど、罪も償わせて今以上に領地も豊かにしろって言ってるようにも聞こえるの気のせいかな?

まぁ、爵位を取り上げられないのは嬉しい事だけど…ここは国防を担う辺境の地だ。

もしチャミシル辺境伯が爵位を返上した場合、次に此処に就任する方はチャミシル辺境伯以上に頑張らなければならないだろう。

…果たして、そんな方は現れるのだろうか?

人に押し付け合う貴族しか思い浮かばない。


それならば今のままにし…恩を売り、チャミシル辺境伯に頑張ってもらった方が国としても楽だろう。

チャミシル辺境伯は今まで以上に頑張るだろうし、恩があるから更に忠誠は堅いものとなる。


……考えすぎかな?


そんな事をアレコレと考えていると…エドモンド様が王都に戻る為、指示を出した。

朝早い時間だったから、今日中に王都に戻れそうだと決まったらしい。

私は慌てて土魔法で塀の穴を埋めた。

前回同様、職人に直してもらうまでの応急処置だ。


「チャミシル、娘に事実確認するのは少し待て…近々ジュードが貴族の令息や令嬢を集める予定でな。もしかしたら、自ら打ち明けるかもしれん。」

馬車に乗る際、エドモンド様は思い出したかのようにチャミシル辺境伯に声をかけた。

それを聞き、チャミシル辺境伯は頷く。


「その日はチャミシルも王都で待機しろ!」

「はっ!」

チャミシル様が捕らえられた時にすぐに駆けつける事が出来る様に声をかけ、エドモンド様は馬車に乗り込んだ。

ジン様とビルショート様はチャミシル辺境伯を励ますかのように肩を叩き、馬車に乗る。


「二人には感謝する…帰りもあのお方の護衛をしっかり頼む!」

「「はい!」」

チャミシル辺境伯は馬車から離れると、私達にも声をかけた。

此処で彼とはお別れだ。


「…学園でチャミシル辺境伯の名を騙った男は判明しましたか?」

見送るチャミシル辺境伯に、リオンが思い出したかのように問いかける。

チャミシル辺境伯は首を振り「まだ分からないままだ…だが。」と何か思い至ったのか思案する素振りを見せた。


「学園の目撃情報と、先程の映像の男は何となく似ているように感じた。髭を生やせば…?」

「…その可能性はありますね。では、僕の方で本人に確認しておきます。」

チャミシル辺境伯の言葉にリオンはニッコリと微笑む。

その表情に、チャミシル辺境伯も笑みを浮かべた。


「二人には助けてもらってばかりだな。」

そう言って微笑むチャミシル辺境伯に見送られ…私達は王都に向けて出発した。

因みに、ペルノは最後尾を走り付いてくる。


…帰りもどうか何も起きませんように。

そればかりを願って馬を走らせた。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

…ご想像通りのお方です。

途中から本人も隠してませんでした。

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