そして、王城へ
今すぐにでも眠りたかった私とリオンだったが、残念ながらその夢は儚く消えてしまったようだ。
…ただ眠る事…それがどんなに幸せな事かは徹夜をした者にしか分からないのかもしれない。
転寝すら叶わなかった私達は、すぐに王城へと向かった。
学園から王城までは、お隣という事もあり…非常に近い。
近いけども王城の使者が馬車を用意してくれたので、リオンと二人で馬車に乗る。
王城の馬車も公爵家の馬車も変わらず非常に乗り心地が良い。
…乗るんじゃなかったと後悔するほどに。
緩やかに揺れ…昼食後という事もあり、すぐに睡魔が襲ってきた。
負けてたまるかと、半目を開き…眠気を我慢する。
…きっと今、めちゃくちゃ不細工な顔になってる。
目の前のリオンも同じ顔で堪えてるが、やはり酷い顔をしていた。
「無理…本当、何の我慢大会なの?ってくらい無理。」
「瞼が自然に落ちてくる…自然の摂理には抗えないのよ。揺れが心地良くて辛い。」
互いにペシペシと膝を叩き、何とか眠気を飛ばす。
そうして何とか馬車が王城に着くまで眠らずにいると、御者が到着を告げる。
いそいそ馬車を降りると、私達はいつもの謁見の間…では無く違う部屋に通された。
王城からの呼び出しに、勝手に国王陛下に呼ばれたと思っていたようだ。
「リオン、リリア嬢!」
リオンと二人…部屋で待っていれば、息を切らして入ってきたのはクロード殿下とジュード殿下だった。
二人が呼んだのかな…と思ったけど、それなら学園でも良かったんじゃないかと首を傾げる。
同じタイミングで首を傾げたリオンの頭とコッツンと頭が当たった。
痛いわけでも無いけど、何となく乱れた気がして頭を摩っていると…再び部屋の扉が開く。
現れた人物に私もリオンも慌てて腰を低くし頭を下げた。
「クロード、ジュード…何故ここに居るのだ?お前達を呼んだ覚えはない、席を外しなさい。」
現れたのは国王陛下とお父様だった。
「しかし…!」
「下がりなさい。」
クロード殿下が縋るように見つめるも、国王陛下は有無を言わさぬ顔で睨み返した。
渋々と部屋を出ていくクロード殿下とジュード殿下。
一体…何があったと言うのだろうか?
チラリと見ただけではよく分からず、国王陛下の言葉を待った。
「他の者も下がれ。」
国王陛下の言葉に従者も全て部屋を出ていく。
……大丈夫なのだろうか。
「二人共、楽にしなさい。」
国王陛下とお父様が上座のソファーに座るのを待ち、私とリオンは顔を上げた。
お父様に促され、国王陛下と向かい合う形でソファーに座ると…それまでどこか険しかった国王陛下の顔がフッと優しくなる。
あまりの変わりように目をパチクリとさせていると、お父様が国王陛下に書類を渡した。
それを受け取った国王陛下は私とリオンを交互に見ると信じられないほど和かに微笑んだ。
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遅くなって申し訳ないです。
今の私も双子と同じ…もう瞼が重力に抗えない。
誤字が多かったらすみません。




