徹夜明け
お父様の書斎を出た後、新しい複合魔法の仕様書を作成する為に私とリオンは私室へ戻った。
私は探査魔法を、リオンは水鏡の仕様書を作る。
「明日もテストなのに…。」
そんな事を呟いたのは私だったのかリオンだったのか…。
…前世の学生時代ならば、親は「テスト勉強しなさい!」と怒る側だったのに…今世の父はテストよりも仕様書を優先させた。
いや、お父様にとって私達は仕様書もテストもどちらも出来て当たり前なのかもしれない。
普通の子供ならば、そんな事を言われてもどちらか一方になるだろう。
重圧に負けどちらも上手くいかない事もあるかもしれない。
だが、それが罷り通らないのが公爵家。
呟いてみたものの、私もリオンもどちらも頑張るしかないのだ。
初めて作る仕様書は、お父様に何度も手直しされながら…何とか形になったのは明け方近くだった。
お父様に仕様書を提出すると、今更寝たところですぐに起床時間になる。
私とリオンは目を覚ます為に二人でいつもの鍛錬をし、その後は温かい湯で汗を流すと学園へ行く準備をする。
いつもよりも早めに登校すると、リオンと二人…向かい合わせに座りテスト勉強をする。
集中していれば、あっという間に生徒達が教室を賑わし…気づけば先生が教室へ入ってくる時間になっていた。
徹夜した頭で何とか三教科のテストを全て終えた私達は、カフェの端を陣取った。
出来る事なら突っ伏したい…だが、公爵家としてそんな事は出来ない。
見た目だけはしゃんとして、優雅にランチをする。
『今すぐ寝たい…。』
『分かる…ベッドに体を沈めて、自然に目が覚めるまで眠りたい。』
今日のリオンとの会話はずっとこんな感じだった。
こんな風に眠いのを堪えていられるのも、若いからなんだろうな…。
前世、一晩寝なくても平気で動けたのは25歳くらいだったと思う。
それ以降は少し転寝しないと体がキツかったし、頭はしっかり働かなかった。
肌も荒れたし…お肌の曲がり角って言われるのも頷ける。
『帰ったら仮眠取ってから勉強しよう。』
『そうしよう。』
何度目かのテレパシーを送り合い、ランチを済ませた私達が席を立とうとした時だった。
「リオン・クリスティアさんとリリア・クリスティアさん、二人に王城から登城するよう連絡が入りました。この後すぐに向かって下さい。」
慌ててカフェに来た事務員さんが、私達に向かって叫んだのだった。
ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。
遅くなりましたが、何とか更新出来ました。
明日も遅くなるか、更新が出来ないかもしれません。




