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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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温かい物は温かい内に

「「もう、良いかな。」」

クロード殿下がクレア様の所へ向かうのを見送った私とリオンは、スタスタと厨房に向かう。

「え?え?」と戸惑うジュード殿下を残し、ルービン先生もついてくる。


「Aランチ下さい。飲み物は温かい紅茶でお願いします。」

「え?リオンもAなの?…じゃあ、私はBランチ下さい!飲み物は温かい紅茶にします。」

厨房のシェフ達もクレア様の方へ顔を向けていたが、私達が注文した事で慌てて料理を用意し始める。


「ふむ、私も今日はBにしようかな。冷たい紅茶を頼む。」

「あっ、はいぃ!」

ルービン先生も私と同じランチを頼むと、注文を受けた女性が慌てて返事をする。


「どの席にする?」

カフェを見渡し、被害に遭わなそうな場所へと移動する。

どうやらルービン先生も同席するようだ。


席に着き、暫くするとジュード殿下が慌てて同じテーブルに座った。

「ねぇ、リオン。Aランチも少し食べてみたいから、シェアしてくれない?」

Aランチはグリルチキンのクリームソースだ。

少しコッテリ目のメニューだが、興味はある。


「良いけど、僕にもBランチを味見させてね。」

仕方ないなぁと頷くリオン。

因みにBランチは白身魚のソテーで、こちらはトマトソースだ。


「……ランチしてる場合なのか?」

ジュード殿下はハラハラした様子でクロード殿下の方を向く。

すると、何故か全員が此方に顔を向けていた。


「え?僕達に関係ないし。」

「そもそも、ランチしに来ただけだし。」

そんな彼らに見向きもせず、厨房から漂う香りに…お腹の虫が刺激される。

絶妙な力を入れないと、お腹が鳴りそうだ。

こう…入れすぎても鳴るし、力を抜いても鳴ってしまう。

熟練の技が必要なのだ。


「でも、ジュード殿下は見てないといけないと思う。」

「そうだね、お手本を見せてって言っちゃったもんね。」

同じようにお腹を空かせて厨房をチラ見していたジュード殿下は、私とリオンの言葉に残念そうに眉を下げた。


「そうか……上手く躱せたと思ってたんだけど、難しいね。」

「「相手はクロード殿下だからね。」」

ジュード殿下の呟きにウンウンと頷く私とリオン。

すると、厨房から料理が運ばれてきた。


「では、頂きますか!」

「うん。」

目の前に並ぶ温かいご飯を早速頂くことにしよう!

…と、魚にナイフを入れた時だった。


「ちょっと!!」

少し離れた位置から一人の令嬢が叫ぶ。

気にせず一口頬張ると、白身魚の皮はパリッと身はホロホロっと崩れ…思わず頬に手を当てる。


「おいひぃ…!」

「先に一口貰っていい?あっさりした方から食べたい!」

私の表情を見たリオンが私のお皿を自身の前へと寄せ、同じようにパクリと食べる。

…そして、いつもの美味しいのポーズ!!

今日もあざといですなっ!


「美味しいね!僕のもどうぞ。」

そう言ってリオンは自分が食べるより先に私へお皿を寄せた。

カリッと焼かれた皮に、ムッチリと肉厚なチキン。

それを濃厚なクリームソースに絡めて口に含めば、白米が欲しくなる。

あぁ…早く白米を見つけ出さねば…と、チキンを噛み締めた。


「こっちも美味しいね!」

「うん、肉厚でガツンとくるよね!」

ランチを堪能していると、再び令嬢が叫んだ。


「何、無視してるのよ!!」

私もリオンも一旦、食器を置くと…令嬢に目を向け首を傾げる。

そして……食事を再開した。


「ちょっと!こっち向いといて無視しないで!」

その言葉に私とリオンは互いに目をパチクリとさせた。


「なんで見てなきゃいけないの?」

「温かい物は温かい内に食べないとシェフに失礼だと思うの。」

リオンは再び首を傾げ、私は目の前の食事に集中する。


「あっ、僕は見てるよ?」

ジュード殿下が慌てて食器を置いて、クロード殿下の方へ顔を向ける。

…まさか、ジュード殿下も注文していたとはね。


「いや、食べた方が良いよ!シェフに失礼だからっ!」

ジュード殿下に食事を再開するように声をかけると、ジュード殿下は気まずそうに食べ始める。

温かい物は温かい内に!これ大事です。


私達はあっという間に食べ終えると、タイミング良く紅茶が運ばれて来る。

それを一口含み…ホッと息を吐いた。

テストはまだ後二日あるのだ。

午後もテスト勉強しなきゃな…。


「そろそろ、こっちを見なさいよ!!」

私が明日からのテストの事を考えていると、怒鳴り声が聞こえて来る。

…もう本当。


「構ってチャンかよ!関係無いのに巻き込まないで下さる?」

私は我慢できずにツッコんだ。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。


…なんでしょうね、いくら考えてもランチする双子しか出てこなかった。

実況してり解説したりもしないなんて…よっぽどお腹空いていたようです。

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