光魔法
カフェ中に響いた叫び声に、生徒たちは悲鳴を上げながら外へと走り出す。
その人波に押され体勢を崩しそうになったが、リオンが庇うように力強く私を抱きしめ直した。
生徒達が外に出ると…残ったのは最初に揉めていた数人。
メアリ様一団と、ロマネス殿下とチャミシル様、そして…クレア様だ。
三つ巴状態で対峙しているようだが、クレア様とチャミシル様の様子が…というか、なんか禍々しい魔力に包まれている。
「あれは上級の光魔法だよ。」
「…え?」
私を抱きしめながらリオンが教えてくれたのだが…光魔法!?
禍々しくて、毒々しくて…見るからに闇っぽいのに?
「リリアは光魔法と聞くと綺麗なものや癒しを連想してるみたいだけど、人を操ったりするのも光魔法なんだよ。…あれは、そういう類のもの。いや…もっとタチが悪いかもしれない。」
私達に被害が及ばないギリギリの場所で見守りながら、リオンは私に分かりやすく説明してくれた。
つまり…イメージとしては悪魔に取り憑かれてるみたいな感じだろうか。
だが、魔力が膨大過ぎてチャミシル様の魔力なのかクレア様の魔力なのか判別が難しい。
しかも、それを何とかしようとロマネス殿下は火魔法を発動してるけど…あれ意味あるのかな?
コテンと首を傾げていると、同じようにリオンも首を傾げる。
「あれ…意味ないよね?」
「…たぶん。」
「私、知ってるんだから!貴女が私の邪魔ばかりしてるの!!」
膠着状態かと思っていると、クレア様がチャミシル様に向かい喚き散らした。
…叫ぶとか怒鳴るとかそんなレベルじゃなかった。
話の内容から、どうやら禍々しい光魔法を発動させたのはクレア様だと判明した。
ふむ…光魔法の使い手という事は…やはり、クレア様が“ヒロイン“ポジで間違いないようだな。
と、こんな時でもそんな事を考えてしまう私。
今日もブレてはないな!
「…あれは、どうにかすると消える物なの?」
巻き込まれるのはゴメンなので、とりあえずリオンに対処法を聞いてみる。
しかし、リオンは難しい顔で首を捻った。
「どうだろ?あれは禁術の部類に入るから…発動者本人が消すか、もしくは被害者が我慢するしかないかな?」
「取り憑かれて…我慢できるの?」
悪魔に取り憑かれて我慢なんか出来るのだろうか?
あれかな…上手く共存するとか?
「まぁ、殆どの人は発狂するか廃人になるかだろうね。」
私が色々と考えていれば、リオンが恐ろしい事を言ってきた。
ギョッとし…リオンとチャミシル様を交互に見る。
「それってヤバいやつじゃん!!」
「うん、だから禁術の部類に入るんだよ。ただね…。」
私がツッコミを入れると、リオンは頷き…更に困った顔をする。
そして…とんでもない事を口にした。
「あれ…クレア様に消せると思う?」
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今日は少し短めです。
申し訳ないです。




