小さな変化
冬季休暇まで二週間を切ると、休暇前に行われるテストの勉強をする生徒が増えてきた。
そういう私達も、合間を見つけて勉強を始めていたりする。
数日前に別邸に来たペルノは、別邸に慣れるべく使用人達に混じり仕事をしたり…。
私とリオンが学園に行っている間はマリーもアリーも手が空きやすいのか、私達の生活や諸々をペルノへ教えているらしい。
帰宅するたびに成長が見えて、私達も嬉しく思う。
…因みに、リシェ様はペルノを見かけると何処か申し訳なさそうに俯いてしまう。
それに対しペルノも、困った顔で固まってしまうそうだ。
…お互いに複雑なようだ。
そんな訳で、ランチタイムが訪れ…私達はいつものカフェへと向かう。
最近は私とリオンとジュード殿下の三人でランチをしているのだが…何故か食べ終わる頃になるとロマネス殿下が近づいてくる。
そう…ロマネス殿下だけが来るのだ。
チャミシル様はどうしたのだろうか…と、周囲を見渡すとカフェを立ち去る後ろ姿が目に入った。
…出来たらロマネス殿下も連れて行ってくれたら良いのに…と思ったり思わなかったり。
ロマネス殿下は、以前のような敵意剥き出しという事もなく。
どちらかと言えば、私達二人に興味があるのかよく話す。
主に自分の自慢話だが…。
興味があるなら、こちらの話を聞き出そうとかないのかな?
もう…自慢話で胸焼けしそうですわ。
そんな事を思っていると、この日は珍しく私達に質問してきた。
「二人はテスト勉強はしてるのか?」
何故か上から目線で…人を小馬鹿にしたように、嫌な笑みを浮かべて聞いてくるロマネス殿下。
補講を受ける程に成績が悪いとか思っているのかな?
そういう理由の補講ではないのだけど。
「テスト勉強は少しずつ始めております。」
和かにリオンが答えると、何故か鼻で笑われた。
…そういう所、誰も諌めないんですかね?
「そんな事では補講が増えるのではないか?」
相変わらず嫌な笑みで話すロマネス殿下に、リオンは表情を変える事なく首を左右へ振る。
それに少しムッとするロマネス殿下。
「テストの結果は休み明けですので、補講の心配はありません。」
冬季休暇前のテストは休暇中に採点が行われる為、補講には関係ない。
その説明をリオンがすれば、ロマネス殿下は再び鼻で笑い…お茶を飲み終え先にカフェを出て行ってしまった。
「…悪いな、ロマネスは二人の成績を知らないんだ。」
ロマネス殿下が見えなくなると、小さな声でジュード殿下がフォローした。
それに対し、私もリオンも首を振る。
「「お気になさらないで下さい。」」
リオンと共に笑顔で答えると、ジュード殿下はホッとした顔をする。
「…二人に頼みがあるのだが、僕も二人と一緒にテスト勉強をしても構わないか?」
ジュード殿下は真面目な顔で私達に問いかけるので、私達は笑顔で頷く。
…一つも教科が被っていないが、今までも一緒に勉強していたので問題はないだろう。
今回のテストでジュード殿下は、上位の成績を残す事になるかどうかは…もう少しだけ先のお話。
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今日は短めですみません。




