嬉しい成長
チャミシル辺境伯に会いに行った翌日。
…本当ならばクレア様にも会おうと思っていた私達だが、チャミシル辺境伯が学園側に確認するまで待った方が良いと言う事で訪問するのは延期となった。
そして昨日、帰宅後にペルノは手紙を送ると…何故かすぐに来た。
今日…朝イチで来た。
…もっと先で良かったんだけど。
久しぶりに見たペルノは薄っぺらだった体は少しばかり肉が付いて、身なりも綺麗になった。
ますますチャミシル様に似てきたなと思ったが、本人が怒るので言わないでおく。
毎日、祖父母に鍛錬され…執事のセバスチャンと家庭教師のトレイルさんに勉強とマナーを学んでいるそうだ。
背筋が伸び顔つきも少し大人びたペルノは、私とリオンに対し綺麗な礼をし…それはそれは驚かされた。
あの”やさぐれた”青年はもうどこにも居なかった。
今はまだ使用人見習いで、今日は私達が呼びつけた事もあり今回はお客様扱いになるのか…ペルノはかなり戸惑っている様子だ。
そんな訳で最近の様子などを聞きつつお茶をしてるのだが、落ち着かないのかソワソワとしている。
「こういうのにも慣れないといけないんじゃない?」
落ち着かないペルノにリオンが苦笑しながら声をかけると、ペルノは少し口を尖らせる。
「分かってる…いや、えっと…仰る通りです。」
ついつい以前のような話し方になってしまうのか、時々言い直しているところは意外にも真面目なのだなと感じた。
「使用人になるには、僕たちがどのような生活を送っているのか学ばないといけないからね。これからは時々こうやって僕たちとお茶をするように!」
「そうね、好みなんかも知ってもらえるし。サーブのタイミングなんかも分かるようになるから、これからは一緒にお茶を飲もうね。」
私とリオンが笑顔で告げれば、ペルノは困ったのか身近にいたマリーとアリーを見た。
だが、マリーもアリーもニッコリと笑い頷くだけで…ペルノは諦めたのかガックリとしていた。
「さて、手紙にも書いたけど…チャミシル辺境伯に会ってもらえるかな?」
お茶を飲みながら、ペルノに問いかけるリオン。
会うのを嫌がるかと心配していたが、どうやら杞憂だったようだ。
「かしこまりました。…今回、二人の生活を見るようにと領主様方に別邸に行くように命じられましたので予定より早くこちらに参りました。」
リオンの問いに姿勢を正し、ペルノは和かに答えた。
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