先生とチャミシル辺境伯
魔法学の準備室に到着した私達は、魔法学の先生に促されソファへ座る。
すると、先生は紅茶とお茶菓子を用意して私達の前に並べた。
「君達がどんな目的で何を調べているのかは聞かないが、先程の件で少し気になる事があってね。」
先生は顎を摩りながら、私とリオンを交互に見る。
きっと…本当は目的とか知りたいのを我慢してくれているんだろうな。
「私とチャミシル辺境伯は学友でね、よく一緒に色々な事をしたもんだよ。」
昔を懐かしむように話し始める先生。
年齢的にも確かに同じくらいかなとチャミシル辺境伯を思い浮かべる。
「私の知る限り…彼奴は娘の事で抗議には来ても、怒りを露わにしたり、急かしたりするような男では無かったんだよ。どちらかと言えば慎重な男だった。」
眉を寄せ、難しい顔で先生はチャミシル辺境伯について話してくれた。
確かに、騎士団の遠征先で初めて会った時の印象は先生が言う通りの人物かなと思えた。
誕生日の夜会では…何かを隠しているようには見えたが、先程の事務員さんの話のチャミシル辺境伯とは違って見えた。
「…チャミシル辺境伯とは、最近もお会いしているのですか?」
学友だったという事は、もしかしたら最近のチャミシル辺境伯の事を知らないかもしれないと問いかける。
「あぁ、年に数回は会っている。入学式に来た際も顔を出してくれたんだが…抗議に来たというのは知らなかったな。いつもなら顔を出してくれるんだが…。」
何故、その時だけは来なかったのかと…先生は首を傾げた。
私は隣に座るリオンに目を向けると、リオンも私を見つめ返す。
恐らくだが…考えている事は同じだろう。
「私達、次の休みにチャミシル辺境伯へ会いに行こうと思います。そして、加害者とされているクレア様にも。」
そう宣言すれば、隣のリオンもコクンと頷く。
そんな私達に先生は一瞬驚いたが、すぐに口角を上げ頷いた。
「私も同行しても構わないかな?二人さえ良ければ、私の方からチャミシル辺境伯へ手紙を出そう。友人の私からなら、そう警戒もされまい。」
「「はい!お願いします。」」
先生の申し出に私もリオンも勢いよく返事をし、そして後日…チャミシル辺境伯から了承の手紙が来たらスケジュールを調整するという事で今日は解散した。
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今日は短めで申し訳ないです。




