情報収集
翌日、私とリオンは二人で学園の事務室に来ていた。
と、言うのも…クレア様が教室には居らず…更に情報通のラライカ様でもクレア様が居ない理由が分からなかったから。
事務室に向かっていると途中で魔法学の先生と遭遇し…行き先が同じだった事もあり、案内をしてもらった。
…多分だけど、先生の行き先は本当は別だったんだと思う。
だって…先生…事務室の方から歩いてきたし。
事務室に入れば、事務員の方々がアワアワして応接スペースへ通してくれてお茶まで用意してくれた。
忙しいのに、なんだか申し訳ない。
「二人は、何の用で事務室へ来たんだい?」
優雅にお茶を飲みながら、魔法学の先生に来訪の理由を問われ…私はリオンと顔を見合わせる。
魔法学の先生の近くで待機している事務員さんも、先生と同じように身を乗り出して私達の答えを待っている。
「ある生徒の事で確認したい事がございまして…最近、その生徒と会っていないものですから…。」
ザックリと目的を話せば、先生は事務員さんにも席に座るように促す。
「その方のお名前は?いつ頃から会っていないのですか?」
眼鏡をクイっと上げながら、事務員さんはメモを取り出し…私とリオンを交互に見て問いかける。
出来る秘書みたいな風貌に少しばかり戸惑いながらも、クレア様の事を話すと…事務員さんはすぐに席を立ちファイルを持って戻ってきた。
「クレア・ポンシュワール伯爵令嬢…は……あら。」
「その名前なら私の授業を選択していたな…確かに最近は欠席していた。」
ファイルのページを捲り、事務員さんはクレア様のページで手を止め…口元を押さえた。
名前に聞き覚えがあったらしく、先生は魔法学上級の授業にクレア様が居た事を思い出したようだ。
「えー…と、クレアさんは現在は謹慎中ですね。…謹慎が解けるのが今週末なので、来週には登校されると思います。」
「「謹慎中?」」
事務員さんの言葉に私もリオンも思わず瞠目し、問い返すと…事務員さんは一度頷く。
「はい。どうやら…他生徒と揉め事を起こしたようです。」
生徒同士の揉め事で謹慎になるのか…。
令嬢が揉めるところを想像してみるも、ピンと来ない。
そもそも令嬢ならば、口喧嘩くらいしかしないと思う。
「因みに…お相手の方も謹慎中ですか?」
もしかしたら私のよく知る令嬢かもと、問いかければ…事務員さんは首を左右へ振って否定する。
「いえ、謹慎処分はクレアさんだけです。どうやら…暴力を振るったようですね。」
「「暴力!?」」
事務員さんの返答に先ほどよりも大きな声で聞き返してしまった。
だって…暴力なんて…?
「お相手は誰なのでしょう?」
私が驚いている間も、リオンはすぐに顔を戻し更に問いかけた。
事務員さんは答えるべきか逡巡したが、魔法学の先生が話すように促してくれ…渋々口を開く。
「ジェシカ・チャミシルさんです。」
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今日も遅くなり、申し訳ないです。




