消えたヒロイン
熱々のグラタンをハフハフしながら食していると、そんな私達を見て厨房の人達は何故かグラタンを作り出した。
…作っても良いけど…私とリオンの夕食は違うものにして欲しい。
そんな事を思いながら厨房を見ていると、リオンが私に目を向けて…何やら考え込んだ。
「さっきの…イベントってやつは、他にもあるの?」
うーん…と考え込むリオンはやっぱり可愛いと思う。
って、そんな事より!
「アレをイベントだと思えば、多分だけど他にもあると思うよ。」
アレをイベントとカウントして良いのかは謎だけど、恋愛イベントと聞いて思い出す物を端から話す。
「王子との出会いイベントの他に攻略対象全員のものが存在するし、他のキャラ…方々と同時のイベントもある。対立する方々とかはそういうのも多いかな?個々には親密度によって自分の生い立ちとか教えてくれるイベントもあるよ。後は…裏切り者の告白イベントとか、暗殺者の自分を曝け出すイベントなんかも存在するし…一緒に事件解決したり、魔物の討伐イベントなんかもあったかな?」
他にもきっとあるんだろうけど…すぐに出るのはこれくらいかな?っと説明を終えると、何故かリオンは頭を抱えた。
「ねぇ…リリア?それの殆どが…実は起こっていたりしない?」
リオンは頭を押さえたまま、小さな声で私は問いかけた。
リオンの言葉に私は首を傾げる。
「え?ヒロインのイベントでしょ?…あったのかは知らないよ。リオンは心当たりあるの?」
リオンはもしかしたら攻略対象なので、そういった場面があったのかもしれないな。
今のところ思い出せる限りで悪役令嬢の私がイベントに遭遇したのは今日が初めてだと思う。
…悪役令嬢としてではないけども。
「大有りだよ!リリア、よく思い出してみて?裏切り者の告白くらいは心当たりあるんじゃないの?」
ガバッと勢いよく立ち上がったリオンは、私を責め立てるように問いかけてきた。
…裏切り者の告白?
告白…イベン…ト…。
「リシェ様とジュード殿下の罪の告白の事?あっ…ライルもかな?」
頭に浮かんだのは三人の罪の告白だった。
…ジュード殿下のは、確かにイベントっぽかったかな?
「そう!で?事件の解決に、魔物の討伐…魔獣なら僕と討伐してるよね?」
続けて問いかけられる言葉に私は固まった。
確かに…してる。
事件は現在進行形のやつだ。
魔獣討伐も師範代試験で遠征に行って…しかも、そこから事件が始まってる。
「親密度が上がった相手から生い立ちも聞いたんじゃない?因みに…アレスも含むと思うよ?」
生い立ち…リシェ様とジュード殿下とライルと…ハンザン様?アレスも含んじゃうの?
…確かに親密度が上がったから話してくれたのかな?
でも…?
「…え?じゃあ…ヒロインはどこに消えたの?」
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今日は短めです。




