閑話 別邸での生活②
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暇を持て余した
双子たちの
遊び……が思いつきません。
「………何する?」
ソファーに座りクッションを抱きしめたリオンはコテンと頭を傾げて私を見つめる。
今日も双子の兄が可愛い。
「うーん…うーん?うん…」
ソファーに凭れ掛かり両腕を組み悩む。
淑女としてはダメなポーズだが、そこはまだ6歳児。
お勉強の時間じゃなく私室なのでセーフのようだ。
「何か閃いたの⁉︎」
私がウンウンと唸っているのが、どうやら閃いたと勘違いしたらしい…
どこで勘違いするんだ?
「幾つか案はある。」
何もない訳じゃなくコレと言うものがないだけだ。
「まず、お庭の植物を観察し食べれそうな果実を見る…とか?」
「食べれそうな果実?」
ピンとこないようだ。
「あとは、私たちはこの別邸の中を知らないから…散策とか?」
無論、お父様や他の個人の私室は行かない。
厨房とか食料庫とか見てみたいと思ってる。
あと…隠し部屋とかあれば面白そう!
「そっちのが楽しそう!アリー、見てもいい?」
リオンは嬉しそうに立ち上がると侍女のアリーに確認した。
「私室など一部を除けば大丈夫ですよ。」
アリーはマリーにとても似ている。
見た目もだが話し方や雰囲気がとても優しい人だ。
「厨房や食料庫は見ても大丈夫?」
私は自分が見たい場所が大丈夫か聞くとアリーは笑顔で頷いてくれた。
「今は皆が休憩の時間なので邪魔にならないと思います」
早速、別邸の散策を開始する事にした。
私たちの部屋は2階にある。
同じ階には両親や祖父母、兄妹の私室の他にお父様の書斎と書物庫があるだけだ。
書物庫に入ると昨日の出来事を思い出す。
ここでエイミーの話を盗み聞きしていたのだ
書物庫の奥に進むと何か違和感を感じる…
昨日は奥まで来なかったから分からなかったが、目に入る本棚が何かおかしい。
お父様の書斎側とは反対の壁に据え付けられた本棚の目線の少し上に違和感の正体があった。
そこだけ5冊ほどの本が隙間なくくっついている。
普通ならば、本と本の間に数ミリの隙間ができるはずだ。
迷わず手を伸ばし押してみた。
ガタガタと本棚がスライドしていき小さな扉が現れた。
その取手を持って開けようとしたが、残念ながら鍵が掛かっていた。
「ねぇ、ここの鍵はどこにあるの?」
ついてきたマリーに聞いてみる。
「そちらはリューク様がお持ちです。中は…見ない方が良いと思いますので、戻しますね」
マリーはスライドした本棚の横のボタンみたいなものを押し、本棚を戻してしまった。
「リオン様、リリア様、世の中には知らなければ良かったと思うことが時にはあります。
此処は…そうですね、成人してからでしたらお見せできるようになるかと思います。」
マリーはそれはもう良い笑顔で微笑んだ。
私もリオンも思わずピンと背が伸びた…
「では、次は1階に降りましょうか」
「「はいっ!」」
部屋を出て1階へと続く階段へと向かった。




