閑話 別邸での生活①
王都に着いて2日目の朝ーー
私たちは日課の朝の鍛錬を終えて部屋に戻った。
「リリア様、本日は旦那様も奥様もお出かけのようですので私とアリーが対応させて頂きます。」
動きやすい淡い紫色のドレス風ワンピースに着替えると、ヘアースタイルを直しながらマリーが今日の予定を話してくれる。
マリーは私の専属侍女で、アリーはリオンの専属侍女だ。
マリーとアリーは姉妹で年齢的にはお父様達と近い。貴族ではよくあると聞くが、乳兄弟という訳ではないそうだ。
我が家に代々仕えてくれる家系で育った彼女達は超ベテランだ。
彼女達には更にもう一人の姉妹がいるが、現在は育児休暇中なんだとか。
この世界は…前世よりも悪待遇な職場が多いが、我が家は中々に好待遇のようだ。
「分かったわ、では宜しくお願いします。」
「かしこまりました。」
朝食を終え、祖父母や両親…それに兄妹を見送る。
祖父母はいつもよりも軽装で、普段の公爵家の馬車ではなく目立たない馬車で出かけて行った。
お父様は仕事、お兄様は学園へとそれぞれ向かい
お母様とリナリアはお茶会に出かけて行った。
幼いリナリアは、お母様から離れると直ぐに泣く。
これが常らしい。
3歳で両親と離れた私達はそういった事がなく、寂しかったのだとか。
私としては大好きなリオンはいるし、祖父母もいるし、更には侍女のマリーもいたから特に寂しいって事はなかったのかな?
幼すぎてしっかり覚えていない。
皆んなを見送ると私とリオンは学習の時間になる。
祖父母が不在なので、今日のお勉強は午前中には終わるようだ。
今日は文字の練習と計算を重点的にやるそうで、マリー曰く美しい文字は幼い時から基本をしっかり身につけておくことが大事なんだそうだ。
確かに大人になってからやろうとしても長年の書き癖だけは治らない。
小休憩のお茶を挟み、次に計算…というか算数をやる。
基本的な計算は身についているので、私の前世の知識を用いた二桁以上の掛け算と割り算が最近の課題だ。
そもそも、お祖父様が間違えて激ムズな三桁掛け算を6歳児に出したのがきっかけだった。
私のやり方をリオンに教えて解いた事で、我が家ではこの計算式を採用されている。
因みに最初に通う初等学園では一桁の掛け算までしか習わない。
頭を目一杯に使い午前中のお勉強が終わった。
頑張ったので、午後は好きな事をして良いと許しを得た。
お昼を食べながら、リオンと午後に何をするか話し合うことにしよう。




