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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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まさかのサプライズ

十六歳の誕生日は見事なまでの晴天で、この時期にしては暖かく…昼に行われるガーデンパーティーには最高の陽気だった。

家族と近しい者だけを招待したパーティだが、現在も居候中のリシェ様も当たり前のように参加している。

そのせいか、何故かクロード殿下も昼のパーティーから出席していた。


「二人とも、おめでとう!」

お祖父様とお祖母様、そして両親と兄妹から次々にプレゼントを渡される。

既に私もリオンも大量のプレゼントに囲まれている中…アレスが私の元へとやってきた。


「リリア、誕生日おめでとう。」

アレスは膝を付くと私の右手を取り、ちゅっと口づける。

初めてされた時はドキドキが止まらなかったが、慣れてきたのか…以前よりはドキドキしない。

私も大人になったって事ですね!と、内心で誇らしげに思っていると…口づけをしたままアレスが私を見上げた。

そして、何故かもう一度…口づけられる。

その仕草に吃驚して胸が高鳴った。


お…お…大人になったもん!と自分に言い聞かせるように心で叫べば…何故かしたり顔でアレスが再び見上げてきた。

態と…だと?私をドキドキさせて…誰得だよ!

「なるほど!僕もやってみよ。」

私がドギマギしている隣でリオンがボソリと呟いた。

きっとこの後、キャティ様で試すに違いない…頑張ってね、キャティ様!!


そんなこんなでプレゼントを受け取り終えると、私は父親に手を引かれた。

お父様と手を繋ぐなんて…初めてかもしれない。

吃驚して固まっていると、お父様は寂しそうな笑みを溢した。


「二年後に正式なのはやるけど…今日は簡易的なものでごめんね?」

そう言いながらお父様と歩くのは庭園の奥に設置されたステージまでの一本道だった。

道といっても、二人が歩けるだけのスペースを縁取るようにお花が並べられているだけだが…。

どう見てもバージンロードとしか思えない光景に、困惑しながらもお父様と並んでステージへと向かう。

ステージの少し手前には、今日集まってくれている方々が私達の方へ向かって整列していた。


お昼のパーティー用のドレスが白くてウェディングドレスみたいだなと思っていたが…まさか本当に結婚式だとは思っておらず、家族からのサプライズに混乱と喜びで軽くパニック状態だ。

そんな私をゆっくりとした歩みでエスコートしてくれるお父様は、私を気遣うように笑みを向けた。


「リリアが生まれて十六年…過ごした時間はそれよりも遥かに少ないが、私にとって初めての娘だったリリアは私達夫婦にとって大切な宝物だ。」

一歩一歩踏み出す足は力強いのに、隣で語られるお父様の言葉に視界は揺めきだす。

ステージの手前、右側にアレスがこちらに体を向けて私が到着するのを待っている。


「それは今でも変わらないし、これからも変わらない事を…ずっと覚えておいて欲しい。」

お父様はアレスへと私の手を渡すと、今にも泣きそうな顔で囁いた。

揺らいだ視界が、涙が溢れた事でクリアになって…お父様の顔が良く見える。


「お父様、ありがとう。」

なんとか出せた言葉はそれだけで…泣き崩れそうな私をアレスは力強く抱きしめる。


「リリアは僕にとっても宝物です。」

私を抱きしめたまま、アレスはお父様へ返すと…お父様が笑ったように感じた。

そしてお父様から返された言葉を、私はアレスの腕の中で聞く。


「あぁ、二人でちゃんと幸せになりなさい。」



お父様に送り出された私とアレスはステージへと上がると、ステージ脇からは牧師役の人物が現れる。

…現れたけど、心臓が飛び出す程に驚いた。


「なんだい、私の顔に何かついていたかい?」

ニヤリと笑う聖女様に声も出せずに口をパクパクとさせていると、聖女様は姿勢を正した。

そして小さく「始めるよ?」と囁くと…魔法を発動させる。


「これから使う魔法は命を代償にする“誓約“(プロミス)…それでも二人は愛を誓い、生涯添い遂げる事を誓えるかい?」

聖女様は私とアレスの瞳を交互に見つめた。

「「誓います。」」

私もアレスも聖女様の瞳を見つめ返し、誓いの言葉を述べれば…聖女様は嬉しそうに笑みを溢し私達へと魔法をかける。

全身を金色の光が混ざった白い靄が包み込み、その靄は私達の体へと吸い込まれていく。


「アレス・ペチェリーヌとリリア・クリスティアの婚姻は無事に結ばれた!」

庭園中に聞こえるような大きな声で聖女様が宣言し、国王陛下が立会人として署名した証文を掲げる。

集まった方々が盛大な拍手で祝福し「おめでとう!」という言葉が飛び交った。

すると、ステージのすぐ側にいたリオンとキャティ様が私達の元へと近づいてきてリングピローを差し出す。


「さぁ、リングの交換だ!これは私から二人へと結婚祝いだと思っておくれ?」

困惑するアレスを他所に、私と聖女様は互いに頷き合う。

この場で指輪交換の意味が分かるのは私と聖女様だけ…それがとても嬉しくて泣けてくる。


「互いの左手の薬指に嵌めたら…誓いのキスを。」

そう言って先にアレスに指輪を渡すと、戸惑いながらも私の左手の薬指に指輪を嵌めた。

同じように私もアレスの左手の薬指に指輪を嵌める。

アレスは少し赤面しつつも、私の肩を抱き…優しいキスを落とした。


再び拍手が起こり…唇を離した私達は祝福してくれる皆様方へと体を向け深々と頭を下げたのだった。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

ちょっと急展開な感じで申し訳ないです。

本日も遅くなり、すみません。

皆様、良いお年を!

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