フィッティング
誕生日パーティーを三日後に控え、本日はドレスや装飾のフィッティングを行う。
裁縫師のティアさんは今日も朝から別邸に来てくれた。
マリーとアリーの手によって私とキャティ様はドレスに着替える。
私は昼と夜とでドレスが変わる為、2着が用意されていた。
「お昼に着るドレスはいかがです?」
ドレスに着替えた私にティアさんが駆け寄り、細部をチェックしながら私へと問いかけた。
着心地も良く、ドレスのデザインもとても可愛らしく……いや?セクシーなのかな?
姿見を確認しながら思ったよりも胸元が大きく開いている事にドキドキしてしまった。
私の胸は人より少し大きいかな?くらいに思っていたが…寄せて上げると素晴らしくグラマーだと思う。
近くで着替えていたキャティ様が私の胸元と自身の胸元を交互に見ているが、気付かなかった事にしようかな。
「あら、随分…育ったのね?」
私の背後からティアさんと一緒に確認していたお祖母様が嬉しそうな笑みで私の胸元を覗き込む。
恥ずかしいから止めて欲しい。
「このアクセサリーもよく合うわね。」
そう言って用意されていたジュエリー類も身につければ、更に胸元がゴージャスになった。
ダイヤモンドとアレスの瞳を連想するような美しく光る碧い石、パライバトルマリンという珍しい宝石を散りばめたネックレスとイヤリングは少しだけ重かった。
一度装飾品を外し、マリーが髪型もセットしていく。
当日のヘアースタイルも再確認し、アクセサリー類も全て付けた状態にするとティアさんもお祖母様も満足そうに頷いた。
その後ろで控えていたマリーもとても嬉しそうに微笑んでいて…何だか胸がいっぱいになってしまう。
「あらあら、泣くにはまだ早いわよ?」
お祖母様にハンカチを借り、慌てて涙を拭えば…次のドレスへと着替える。
着替えている間はキャティ様のドレスチェックが行われていた。
キャティ様のドレスはピンクグレージュにヘーゼル色の宝飾…生地には刺繍で美しい模様が描かれている。
フワッと広がるドレスはとても軽やかで、ダンスでターンをする度に宝飾が煌めいて綺麗だろうなと思った。
「合うわね!」
ティアさんとお祖母様は満足そうに頷き、キャティ様は恥ずかしそうにしながらもどこか嬉しそうに顔を綻ばせた。
私もウンウンと頷きながら眺めていれば、ドレスが着替え終わったと声がかかる。
夜のドレスはアレスの瞳の色と、更に濃い夜空色を上手に組み合わせた物だった。
金糸と銀糸の刺繍は星空と月が描かれており、宝石も散りばめられている。
ライトが当たればキラキラと光って美しいなと、姿見の前でクルクルと回って確認していれば…部屋の扉がノックされた。
訪れたのはリオンとアレス。
二人も当日の衣装を身に纏い……鼻血が出るかと思った。
アレスが…アレスが…格好良すぎた。
黒とシルバーのタキシードだ…しかも胸元のチーフは私の髪の色と同じピンクグレージュ。
カフスとタイピンはヘーゼル色の宝石だった。
「「…………。」」
私は無言のまま凝視し、アレスはアレスで私のドレス姿を凝視していた。
「キャティ、とても似合っているよ!」
アレスの隣に居たリオンが笑顔でキャティ様に駆け寄った事で、私もアレスも正気に戻る。
「リリア…似合っている。思わず見惚れてしまって…その…。」
「い…いえ、アレスこそ!とても格好良くて…私も見惚れちゃった。」
互いに照れながらも褒め合えば、私もアレスも笑顔になる。
アレスが気に入ってくれたみたいで…とても嬉しかった。
その後、リオンとキャティ様も交えて互いの衣装の感想を言い合った。
リオンの衣装は紫がかったシルバーのタキシードに胸元には淡い碧い色のチーフと…キャティ様を連想するデザインだった。
タイピンとカフスも淡い碧い色の宝石が嵌っていた。
今回は残念ながら双子ファッションでは無いけれど、お互いにパートナーが出来たんだと改めて感じて…胸がじんわりと暖かくなった。
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