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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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大切に想う気持ち

ここ数日が何だか濃かったので、久しぶりの厨房です!

小麦粉とベーキングパウダー、それに少しの砂糖で生地を作っていれば…いつものようにリオンが現れる。

「今日はどんなおやつなの?」


私が料理をしていれば、興味津々で作業を見ているリオン。

その光景に少しだけホッとしつつ生地を一つに纏めて暫く置いておく。


「今日は“おやき“を作ります。」

私の前世の“葵“が住んでいた地域の郷土料理だ。

同じ県であっても住んでいる場所によっては生地が変わる。

お饅頭のように柔らかい生地のところもあれば、ハンマーで叩かなければ食べられないほど硬い生地のところもある。

“灰焼きおやき“と呼ばれる硬い“おやき“を初めて見た知人は「石かと思った。」と笑いながら話してくれた事もあった。


因みに私が好きなのは表面はカリッとしているタイプの“おやき“だ。

具を包んだ後に蒸して…更に食べる直前にトースターやオーブンでカリッと焼く。

出来立ても美味しいが、冷めたらレンジで軽く温めた後にトースターでカリッとさせて食べるのが好きだった。


具材はナスを甘めの味噌で炒めた物。

野沢菜漬けを油炒めした物も好きだけど…まだ野沢菜に出会えてないので漬物に出来ず諦めた。

いつか…野沢菜漬けが出来たら“おやき“にしようと思っている。

他にも野菜炒めや餡子、チーズなんて入れても美味しい。


野沢菜と同じように見つけたら作りたいと思う食材は他にもある。

一番は“蕎麦“だ。

だが、蕎麦を見つけたとしても万人受けしない可能性もあるし…アレルギーを持つ人も多いかもしれない。

そう考えると、作るのを躊躇ってしまう。


生地を小分けし、指で広げると具を包む。

コロコロと手のひらで整え、次の生地へと手を伸ばす。

その工程が面白そうだと思ったのか、向かい側のリオンが同じように具を包み出した。

初めてなのに器用に包むリオンに少しだけ嫉妬するが、こればかりは慣れもあるけど…才能なのかもしれないと思った。


「本当はキャティと一緒に居ようかと思ったんだけど、採寸するからって追い出されちゃった。」

残念そうに語るリオンに、今日はキャティ様がドレスを作るためにティアさんが別邸に来ている事を思い出した。

途中まで同席していたリオンだが、採寸するからと追い出されて渋々ここへと来たという。


“おやき“を蒸しながら少しだけお話をする。

こんなにゆっくりリオンと会話したのはいつぶりだろうかと懐かしむ。

「…キャティ様にリオンを取られちゃったかな?」

そんな話をすれば、リオンは困ったように笑う。


「それ…昔、僕も思ったよ?アレスにリリアを取られちゃったって。」

アレスに恋した私…その時にリオンも同じように思った事をリオンは懐かしそうに話す。

互いに互いのパートナーへ嫉妬してる私達に思わず笑みが溢れた。


「私がアレスを想っていても、リオンを大切に想う気持ちは変わらないよ?」

「ふふっ、勿論!僕だってキャティを想っていても、リリアを大切に想っているよ。」

クスクスと笑っていれば…いつの間にか“おやき“が蒸し上がっている事に気づいて慌てて取り出した。


蒸し立ての柔らかい“おやき“を半分に割って、片方をリオンに渡せば…はふはふしながら齧り付く。

あえてカリッとさせなかった蒸し立ては、ほんのり甘い生地と甘味噌のナスがよく合う。

田舎を思い出し…心が少し落ち着いた頃、キャティ様の採寸が終わった事をアリーが知らせに来たのだった。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

遅くなってすみません。

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