虐めてるつもりは…
「あんまり虐めるんじゃないよ?」
ネメアレオン殿下方が退室した後、聖女様は獣人達の鑑定をしながら…私達へと溢した。
私とリオンは顔を見合わせると聖女様へと顔を向けて否定する。
「「虐めてるつもりはなかったんですが?」」
「あれでかっ!?」
それに対し、聖女様は間髪入れずにツッコミを入れてくる。
何故か他の方々も驚いた顔をするのに対し、私とリオンは不思議そうに首を傾げた。
「えっと…どこが虐めてるように思えたのか分からないのですが?」
そんなつもりは1ミリもなかったと伝えれば、聖女様は「返しに悪意を感じた。」と教えてくれた。
悪意…そうか、悪意はあったかも知れないなと頷く。
「まぁ、いい薬にはなったと思うよ…ネメアレオン殿下にとっては初体験だっただろうしね。」
聖女様は苦笑すると、獣人達の情報を纏めた羊皮紙を私へと渡した。
それを受け取って中を確認する。
「キャティ以外は皆んな平民で、孤児院出身者だ。年齢も十三歳から十六歳と開きもそんなに無いね。」
「皆さん、同じ孤児院だったのですか?」
獣人達の情報を教えてもらいながら気になった事を確認する。
聖女様はその都度、丁寧に教えてくれた。
「孤児院は同じで…調べてみるが、もしかしたら既に無いところかもしれない。後ほど調べて手紙を出すよ。」
「戻るところが無いのなら、ゆっくりと静養しても大丈夫そうですね。」
今後の事を交えつつ話を進め一通り話を終えれば、そろそろ帰ろうかという雰囲気になる。
改めて聖女様には感謝をし、席を立つと…聖女様は私とアレスを呼び止めた。
「アレスの留学はどうする?私の伝で探す事も出来るが?」
先ほど流れてしまった留学話を私とアレスに再度確認する聖女様。
私からは答えられないと思いアレスを見れば、アレスも同じように私を見ていた。
「リリア…計画は長くてどれくらいで終わりそう?」
「うーん…半年以内には終わる…かな?冬季休暇を挟んじゃうから、その分だけ長引くかもしれない。」
アレスからの問いに計画を振り返りざっくりと期間を伝えると、アレスは聖女様に留学を断った。
「僕は大丈夫です、その期間は領地に引っ込んでいるつもりですから。既に最終学年で出席日数も足りると思うので…。」
「そうかい…大変だろうけど、獣人達と領地で過ごすのも良いかも知れないよ?」
聖女様はアレスを憐れんだ顔で慰めるように声をかけると、アレスは「はい。」と返事をし苦笑した。
「あとはリリアの頑張り次第だね、変化があったら直ぐに連絡をしな!楽しみにしているよ。」
そう言って聖女様は私の背中を思いっきり叩き、笑顔で教会の出口まで見送ってくれたのだった。
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少し短めで申し訳ないです。




