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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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バーバラ殿下の役割

「二人共、その辺で止めときな…。」

私達の言葉の後…暫く静寂が続き、それを打ち消したのは聖女様だった。

聖女様の顔を見れば、どうやら最初から聖女様には私達がエスティアトリオ王国に対し腹を立てていたのはお見通しだったようだ。

アレスの留学の件も…もしかしたらアレスが遺跡の調査をする為だったのではないのかと思えてきた。


「どうしてもと頼まれて連れてきたが、ここまでとはね…。」

そう言うと聖女様はネメアレオン殿下とバーバラ殿下を見た。

困ったような憐れんだような表情の聖女様にネメアレオン殿下は怒りを隠しもせず睨みつける。


「…その様子じゃ、私が国王に何を頼まれていたかも知らないんだろうね?」

聖女様は呆れたようにネメアレオン殿下を見返す。

その言葉に何となくだけど…聖女様は国王にネメアレオン殿下が次期国王となる器かどうか見極めて欲しかったのかもしれないと思った。


「第一王子で百獣の王・ライオンの獣人…ですからね。」

ボソリと呟くと聖女様もネメアレオン殿下も私に顔を向けた。

その横でバーバラ殿下が吃驚した顔で固まっている。


「いつ気づいたんだい?」

私の呟きに驚いたような呆れたような顔で聖女様が問いかける。

「フードがズレた瞬間…ですかね?髪の毛の色と瞳の色で何となくですが、連想したのはライオンでした。まぁ…私の中の勝手なイメージですけど、当たっていたようですね。」

初見でライオンの鬣を連想した。

その答えに溜息を漏らす聖女様と、驚きを隠せないネメアレオン殿下とバーバラ殿下。


「…バーバラ殿下も聖女様と同じような理由でネメアレオン殿下と行動を共にされているのでしょうか?」

今回の件であまり口を出してこないバーバラ殿下が気になっていた。

口を挟むのはいつだってネメアレオン殿下が私達に揶揄われていた時だけ…つまり、ネメアレオン殿下がどう対処するのかを見ていたのかもしれない。


「私は…ストッパー…と言えば良いかしら?暴走したネメアお兄様を止める為に一緒に行動してます。」

「そうだったのか!?」

バーバラ殿下が自身の役割を説明すると、一番驚いたのはネメアレオン殿下だった。

その表情にバーバラ殿下は困ったように笑う。


「てっきり…お前は俺の事を慕って付いて来ているとばかり思っていた。」

驚愕の表情を隠そうともしないネメアレオン殿下。

どこの国にもいるんだな…と、私は宙空を見つめる。


「その顔は何だ?」

どうやら私は何とも言えない顔をしていたようで、向かいに座っていたネメアレオン殿下はムスッとした顔で私を指差した。

バーバラ殿下は慌ててその手を下ろさせる。


「………どこの国にもいるんだなぁ…と思っていただけです。」

正直に答えると更に不機嫌な顔になるネメアレオン殿下。

私の言葉に反応したのは彼だけではなく、リシェ様とクロード殿下も反応していた。

二人は苦笑しながら頷いていた。


「否定はしないね、私もそう思ったくらいさ…リリアが感じても可笑しくはないよ。」

聖女様もウンウンと頷きながら、各国の王子を眺める。

クロード殿下は含まれないが、ジュード殿下はそうかもしれないと思った。

彼もまた自分に正直な人間だと思うから…。



「とりあえず、この場は引きます。貴方達の言った通り…私達は自国の問題も解決出来ないと思われても癪ですし、このまま放置していれば…いずれ貴方達が乗り込んで来そうですから。」

バーバラ殿下はスッと立ち上がり、深々と頭を下げるとこれからの事を話した。

それを面白くなさそうな顔で聞いているネメアレオン殿下。

その顔もしない方がいいと思う…。


「ずっと放置していたつもりは無かったのです…アレスさんのご両親の襲撃事件では王族が絡んでおります故、かなり慎重に捜査していました。そしてキャティさんのご両親の件に関しましては初耳でしたので、これからの捜査になります。」

捜査の状況なども詳しく話してくれたので…もしかしたら、バーバラ殿下の役割はそっち方面なのかもしれないと感じた。

今後の捜査方針と、キャティ様に軽い尋問をすると再び居住いを正す。


「獣人達の事は二人に任せておいて大丈夫だと聖女様にも伺っておりました。何かお困りな事がありましたら私が責任を持ってお手伝い致します。自国の事ですのに、皆様に助けて頂く形になってしまい深くお詫び申し上げると共に感謝しております。」

バーバラ殿下はネメアレオン殿下を立たせ、再び深く頭を下げた。

どちらが年上なんだか…と内心呆れたが、バーバラ殿下の姿勢と言葉に…この方ならば大丈夫だろうと思えた。


「獣人達の件、何かあれば直ぐにご連絡差し上げますが…それだけで無く定期的に現状報告するようにします。」

「他にも僕達で出来る事でしたら、お手伝いさせて頂きます。」

私とリオンもスッと立ち上がり頭を下げれば、それを見たバーバラ殿下はフワッと優しい笑みを浮かべた。

今までの貼り付けたような笑顔ではなく自然な笑みに思え、私達も釣られて微笑む。


「それでは、私達は失礼します。」

そう言ってバーバラ殿下はネメアレオン殿下を引き摺って部屋を後にした。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

閑話と共に本編も書いてましたが、しっくりこなくて書き直してたら遅くなりました。

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