大事なこと
キャティ様は服は着ていたが、とても薄着だった為…聖女様にお願いして教会で服を貸して頂いた。
今はその服に身を包み、リオンの横に座っている。
「他の獣人も…王子のキスで戻るのかな?」
リオンとキャティ様を見ていたクロード殿下がボソリと呟く。
それに反応したのは、リシェ様とネメアレオン殿下だった。
「…試すとか…言わないよね?」
「…ってか、俺達は獣人達を引き取るつもりで来たんだが?」
顔を引き攣らせながら聞き返すリシェ様に対し、ネメアレオン殿下はムスッとした顔で答えた。
獣人達を迎えに来たのか…と感心していると、何故か今度は獣人達が怯えだす。
怯えた獣人達は私やアレスへと近づいてきて、その身を隠した。
「嫌…みたいですよ?」
なんか可哀想だなと思って、私からネメアレオン殿下に声をかければ…彼は更に不機嫌に睨みつけてきた。
その顔で更に怯えて私の服を離さない獣人達。
「…嫌みたいですよ?」
「なぜ、二回も言った?」
怯えている獣人達を庇うようにし、ネメアレオン様に言うと…訝しげに返される。
私はコテンと首を傾げ…「大事な事なので二回言ったんですが?」と答えると更に不機嫌な顔で私を睨んできた。
「…大事な事なので二回…。」
「それは分かった!そうじゃない!俺が言いたいのはそう言う事じゃなくて…何で嫌がるんだ?」
よく理解されなかったのかと再度、申し上げれば話の途中で文句を言われ…問いかけられた。
私は、私の背後にいる獣人達に目を向ける。
その顔は少し青ざめていて…体はプルプルと震えていた。
「…顔が怖いんじゃないんです?」
震えて可哀想だと獣人達をそっと撫でながら、ネメアレオン殿下に正直に申し上げると…激怒した。
「俺の顔が怖いだと?美しいとか逞しいとか神々しいとか言うなら分かるが…怖いだと?」
「自分で言っちゃうタイプの方なのですね。」
そうか…自分で自分を褒めるタイプか…ナル…。
「ナルシストじゃないからな!」
心を読まれた…とチラリとネメアレオン殿下を見れば、肩で息をしながら私の事を睨んでいる。
「やはり…顔が怖いんじゃ…。」
「だから!二度も言うなー!!」
再び大きな声で叫んだネメアレオン殿下は…その後、何故かグッタリとソファーへと凭れかかって動かなくなった。
「顔が怖いからかは分からないけど…彼らの気持ちは分かる気がするよ?…君達の邸はとても居心地が良いからね。」
ずっと静観していたリシェ様は私と獣人達を見ながら話し出した。
その言葉に獣人達とペルノが頷く。
「ご飯も美味しいし、環境もとても良いよね。それに何よりも、君たち家族の醸し出す雰囲気がとても良い。仲が良いからなのかな…温かい家庭ってこんな感じなのかなって思えて本当に羨ましいと思うし、帰りたくなくなっちゃうよね。」
リシェ様の言葉に獣人達とペルノはウンウンと頷いた。
そんな彼らの姿に…グッタリしていたネメアレオン殿下が顔を上げると、再び私を睨みつけて不機嫌そうに叫ぶ。
「そんなに素晴らしい邸ならば、俺も招待しろ!」
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遅くなって申し訳ございません。




