招待を乞う方々
翌日、リーマスお兄様とリオンと共にランチをしていると周囲が急に騒つきだした。
何事かと思い見渡せば、ロマネス殿下が一人で近づいてくる。
私達は食事を止めて挨拶をすると、ロマネス殿下はニヤリと笑って私達へと話しかけてきた。
「もう直ぐ君達の誕生日だと聞いてね…ジュードも招待したんだろ?僕も是非、招待してくれないだろうか。」
ロマネス殿下の言葉に私たちは互いに顔を見合わせる。
すると、リーマスお兄様が笑顔でロマネス殿下へと向き直った。
「勿論、招待致しますよ。ですが…既にワインバル王国からはリシェブール王太子殿下も招待し来て頂けるとお返事を頂いております。」
笑顔で答えるリーマスお兄様にロマネス殿下の笑みが崩れた。
無表情になったロマネス殿下は「何故…兄を?」と問いかけてきたので再びリーマスお兄様が答える。
「リシェブール王太子殿下は僕やクロードと友人関係です。クロード殿下も招待したので一緒にリシェブール王太子殿下にも招待しました。」
自分が彼らと友人だから呼んで当たり前…みたいに返すリーマスお兄様。
決して当たり前ではないんだけど…だって、私とリオンの誕生日パーティーなんだもん。
それに対しロマネス殿下は暫し何かを考えているようだった。
リシェブール王太子殿下を誘ったのは、今も邸に居て帰る気が無いからだったりする。
いや、誘ったというか…何も言ってないのに出る気満々だったと言った方が正しいかな?
あれからリシェ様は国に帰る事も、他の邸に行こうともしない。
ずっと公爵家に居て…何なら我が家みたいな顔で過ごしている。
使用人達もリシェ様の気さくな性格に…とても隣国の王太子を相手にしてるようには思えないくらい仲良く接している。
彼も開き直ったのか…吹っ切れたのか、好きなように過ごすようにしているようだ。
「…僕も招待してくれ。」
考えが纏まったのか、ロマネス殿下は顔を上げて…そう返した。
「えぇ、是非!後日…招待状をお持ちします。」
無表情のままのロマネス殿下に対し、リーマスお兄様は更に笑みを深めて返すと…ロマネス殿下は「失礼する。」と言って去っていってしまった。
「思うんですけど…誕生日パーティーって相手から呼んでくれって言うものでしたっけ?」
ロマネス殿下と話している間は何故か周囲が静まり返っていたが、ロマネス殿下が去った後は再びカフェに喧騒が戻り…私達は食事を再開した。
そしてずっと疑問に思っていた事をリーマスお兄様とリオンに聞いた。
「…普通はこちら側が招待した者だけだよ?」
「まあ…普通では無い方々ですからね。」
リーマスお兄様とリオンが答えると、互いに苦笑する。
私は何故…彼らがそんなにも誕生日パーティーに出たいのだろうかと考えていた。
美味しい料理は出るけど、王城の方がずっと良いように思う。
私とリオンを純粋に祝いたいとも思えない。
…ならば、彼らの目的は先日の獣人の保護の件だろうか?
うーん…と心の中で悩みながら食事を続けていれば、向かいのリオンとリーマスお兄様が私の様子に顔を見合わせる。
「きっと…人とは違う感性で物事を考えているんだろうね。」
「えぇ…何と言っても鈍感ですから、リリアは。」
二人の呟きは考え事でいっぱいになっている私の耳に届く事はなかった。
ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。
時々…過去の投稿を読み返すんですが、幼少期のリリア達のが面白いかなと思ってしまう。
これからも頑張って投稿していきます。




