ランチのお誘い
「リリア様はご存知ですの?今、学園内ではリリア様とクロード殿下の話題で持ちきりだと言うことを!」
翌日、国史の授業の前にラライカ様が私の元へと小走りで駆け寄って来たかと思ったら…早速、昨日の出来事の話を始めた。
しかもとても楽しそうなのは気のせいでは無いだろう。
今回の計画の数少ない女性の協力者でもある彼女は「順調のようですね。」と周囲に聞こえない声で耳打ちする。
「まぁ…私はただ、クロード殿下に付いて歩いていただけでしてよ?」
頬へと手を添えて、憂いを帯びた声で答えれば…ラライカ様も「まぁ!」と口元に手を添えて返す。
「大変…クロード殿下にご迷惑をかけてしまいましたわ!」
態とらしく慌てたフリをしてみる。
茶番でしか無いな…と心の中で苦笑した。
そんな会話をしていれば、同じ授業を受けるためにクロード殿下が現れる。
「リリアとラライカ嬢、ご機嫌よう。」
「クロード殿下!ご機嫌よう。」
「ご機嫌よう、クロード殿下。今日も素敵ですね!」
クロード殿下は私達へと近づくと、嬉しそうな笑みを浮かべて挨拶をする。
それにラライカ様が答え…そして私も続くと、騒ついていた周囲が静かになった。
「リリア、今日も可愛らしいね。勿論、ラライカ嬢も。」
愛おしそうな眼差しを向けるクロード殿下に、此方も蕩けるような笑顔で「ありがとうございます。」と答えると…再び周囲が騒つきだす。
リオンも実は近くに座っているけど、素知らぬ顔で教本を眺めている…ように見せかけて、実はガッツリ見ていて私にテレパシーで指図していたりする。
「リリア…今日のランチは一緒にどう?」
「まぁ!クロード殿下とランチをご一緒出来るなんて、とても光栄ですわ!」
クロード殿下からランチの誘いを受け、顔を綻ばせながら返すと…リオンから『もっと甘えるように!』とツッコミが入った。
…少しだけ悩んだが、リオンの言う通りに胸の前で両手を軽く絡ませながら上目遣いでクロード殿下を見つめる。
「ランチ…とても楽しみにお待ちしておりますわ!」
小さな声で、少しだけ照れたようにし…更に瞳を潤ませる。
すると、クロード殿下が一瞬だけ顔を崩しかけたが…直ぐに戻し「では、またね!」と違う席へと向かった。
浅い溜息を漏らし…席へと着くと、隣にいたラライカ様は何故か赤面して固まったまま動かない。
更に周囲にチラリと目を向けると…周囲も何故か赤い顔のまま固まっていた。
私は一人…首を傾げる。
そんな様子を見ていたリオンが小さな声で「リリア…遣り過ぎ…。」と呟いたが、それを聞き取れた者は此処には居なかった。
午前の授業が終わればランチタイムとなる。
授業が終わった後、少しだけ待てばクロード殿下が教室へと顔を出して迎えに来てくれた。
「待たせたかな?行こうか!」
「はい…楽しみで凄く待ち遠しかったですわ…。」
クロード殿下が声をかけてくれたので、どう答えようか悩み…恥じらうように答えてみた。
すると、クロード殿下は笑みを深めて「僕もだよ。」と言って手を差し伸べて来たので笑顔でその手を取った。
周囲の喧騒も気にする事なく私達は教室を出ると、教室の外で待ち構えていた方に一瞬だけたじろいだがクロード殿下が前に居てくれたおかげで何とか誤魔化せた。
「兄上…そしてリリア嬢、少し話をしても良いだろうか?」
そこにはジュード殿下が一人で待ち構えていた。
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リリアがかなり無理してるのが目に見えて分かる…今日この頃。
暫しお付き合いください。




