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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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種蒔き開始

「じゃあ、行こうか!」

「「え?」」

結果が分かってホッとしていれば、何故かクロード殿下はビルショート様へ挨拶をし…私とリオンに移動するように声をかけた。

訳も分からずに首を傾げ…クロード殿下が歩き出したので慌てて後に続く。

私達が慌ててビルショート様にお礼をし…頭を下げれば、ビルショート様は嬉しそうに「おめでとう!」と言って見送ってくれた。


「君達が帰ってきた事を、騎士団長へも報告しなきゃいけないだろう?」

魔術師団から学園に戻り、更に先へと進むと…クロード殿下は一度だけ振り返って行き先を告げた。

確かに…今回の事件は騎士団にいた時に発覚したのだから、ジン様への報告も必要だろう。

だが…。


「今はジュード殿下とロマネス殿下が騎士団にいるのでは無いですか?」

クロード殿下に慌てて声をかければ、クロード殿下はピタリと足を止め…笑顔で振り返った。


「だからだよ?リリア(・・・)。」

クロード殿下は笑みを深め、私を呼び捨てで呼ぶ。

それを聞いた私とリオンはクロード殿下の考えを察した。


「ラライカ嬢は君達が居ない間に面白い噂を広めていたようだよ?」

久しぶりに見る腹黒い笑みに、思わず顔が引き攣りそうになる。

なるほど…今のうちから少しずつって事ですか。


「僕の事も殿下じゃなくて良いけど?」

「いえ、そこは殿下にしておきますわ。」

クロード殿下の含み笑いに、私も笑顔で答えれば「そう?別に気にしないのに。」と呟いて再び先に進む。

そんな風に呼んでしまった日には、クロード殿下を狙う全令嬢を敵に回しかねない。

そこまで恨まれる度胸は持ち合わせていないし…突然、親しげに呼んだら逆に怪しまれてしまう気がする。


「じゃぁ、此処からは言葉に気をつけてね?リリア。」

「はい、クロード殿下。」

騎士団への扉を抜ける際に耳元で囁かれた言葉に笑顔と甘い声で返すと、クロード殿下は数回瞬きをすると顔を綻ばせた。



騎士団のエリアに入ると、私とリオンはクロード殿下を挟むようにして並ぶ。

他の人達の目に留まるように態と少し大きめの声で話…楽しそうに笑みを溢しながら訓練場へと向かった。


「失礼!騎士団長はいるか?」

訓練場では学園の生徒達が騎士団と一緒に訓練をしていて、そこにはジュード殿下とロマネス殿下もいた。

二人を目の端で確認し、クロード殿下は大きな声でジン様を呼ぶ。


「クロード殿下、騎士団へようこそお越しくださいました。」

ジン様は私達に目を向けると、何かを察したのか…笑顔で近づいてきて頭を下げて挨拶をする。

それに対しクロード殿下も口角を上げて笑みを浮かべた。


「リオンとリリア嬢も元気そうですね。」

「まぁ!お声かけ下さり、ありがとうございますぅ。」

ジン様が私とリオンにも声をかけてきたので、私は猫撫で声で返し…微笑む。

反対側のリオンも同じようにあざとい笑みで返していた。

…なるほど!ああいう感じもアリだな…とコッソリ真似てみる。


「騎士団長、今から少し時間をくれないか?」

クロード殿下は周りに聞こえるように少し大きめの声でジン様へ問いかける。

それに対しジン様は顔をキリッとさせて頷いた。

「では、先に応接間でお待ち頂けますでしょうか。」

ジン様の言葉に今度はクロード殿下が頷く。


「じゃぁ…行こうか、リオン、リリア(・・・)。」

「「はい。」」

私達に声をかけたクロード殿下は踵を返すと、然りげ無く私に手を差し伸べる。

私は嬉しそうに微笑んでからクロード殿下の手を取った。


その瞬間、周囲が騒ついたが…気にする事なく再び三人で歩き出し訓練場を後にした。

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