国家資格の取得
お兄様の言葉に甘えた私達は旅の疲れから、その日はあっという間に就寝してしまった。
そして、翌日の午後。
ビルショート様がワインバル王国へ出発する前の日に「帰ってきたら此処に来なさい。」と仰って下さったので、私とリオンは魔術師団へと来ていた。
私達を見つけたビルショート様は、直ぐに鑑定と適性を診てくれて…今はそれを書き出している最中だ。
そんな時…周囲が一際騒ついた。
周囲の視線の先を見れば、嬉しそうに微笑むクロード殿下が居て…私とリオンは慌てて頭を下げる。
私達が頭を下げた事に気づいたクロード殿下は、私達に近づき声をかけた。
「二人とも、無事に帰ってきたみたいだね…おかえり。予定外の事もあったみたいだね?」
「「クロード殿下、ご挨拶とご報告が遅くなってしまい申し訳ございません。」」
私とリオンはお兄様の「僕が伝えとくよ!」の言葉に甘えて…直接の報告をしていなかった事を謝罪すれば、クロード殿下は首を左右に振って微笑む。
「気にしないでくれ。リーマスから報告を受けて、君達とも話したいと思ったから来たんだ。それに…僕に直接会おうとすると面倒な事が多いからね、リーマスを通してもらって正解だよ。」
ニコニコと笑顔で近づいてきたクロード殿下は、私達と共に頭を下げているビルショート様へと近づいていく。
「クロード殿下、魔術師団へようこそお越し下さいました。今は二人の魔法の鑑定と適性を診ておりました。」
ビルショート様は挨拶をすると、クロード殿下は私達の鑑定結果が気になったようで手に持っていた羊皮紙を凝視していた。
クルリと私達を振り返ったクロード殿下は「僕にも君達の結果を見せてくれる?」と言って私とリオンを交互に見たので、私もリオンもコクリと頷くと…嬉しそうに微笑んだ。
「では、二人の結果の発表をします。適性は合格と言って良いでしょう!」
ビルショート様は嬉しそうに私達を見て結論から話し始めた。
結論から話してくれたおかげで、私もリオンも国家資格をパスしたのだと分かりホッとする。
「魔力量が多いですが、二人は既に自身の魔力を完璧に制御できています。更に使用可能な属性も多数お持ちのようです。何より面白かったのは、双子だからと言って得意な物が一緒ではなかった事です。」
ビルショート様の鑑定結果を聞きながら私もリオンも苦笑すると、クロード殿下は驚いた顔をし鑑定結果を覗き込む。
「リオンが得意なのは光魔法と闇魔法と水魔法か…リリア嬢は木魔法と火魔法と風魔法。二人とも得意なのは異なるのだな?」
「はい、僕は光と闇の魔法が得意です。リリアも苦手なだけで、どちらも使えます。」
クロード殿下の質問にはリオンが答えてくれた。
光と闇の魔法は素質はあっても、リオンのように得意では無いのだ。
代わりに私は木や風の魔法が得意で、捕縛や拘束はそれを応用している。
「なるほどね!個人的な事なのに教えてくれてありがとう。そして、国家資格の取得おめでとう!」
クロード殿下は私達に再度笑むと拍手して祝ってくれた。
周囲の魔術師団員にも聞こえたのか、何故か皆様方から拍手をもらい…。
私は、嬉しいけどもどこか照れ臭くて…照れながら笑顔で返せば…何故か騒ついた。
それに気づいた私は慌てて顔を引き締める。
…なんで騒つくの!?私が照れて笑うのってそんなに変なのかな!?
不安になりつつリオンを見ると、何故か私を見て苦笑いを浮かべている。
やはり変なのかな?とシュンとした顔をし俯くと、リオンにポンポンと頭を撫でられ慰められてしまった。
「…勘違いも此処まで来ると笑えますよね。」
「…あぁ。」
リオンが呟いた言葉にクロード殿下が頷いたが…落ち込んでそれどころでは無かった私には届かなかったのだった。
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獣人達との晩餐にしようかと悩みましたが…リリア達を想像したら疲れた顔してたので、それは後日にしようかなと。




