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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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帰って来ました

「おかえり、リオン、リリア、アレス!思っていたよりも早かったじゃないか!」

邸へと到着すれば、エントランスにはお兄様やリナリア…そして使用人達が出迎えてくれた。

リオンとアレスが先に馬車を降りると、アレスが私へ手を差し伸べる。

その手を掴み、私も馬車を降りてお兄様とリナリアに挨拶をした。


「ただいま戻りました。無事に獣人達の救出と公爵と商人の捕縛協力をして参りました。」

帰還の報告をし、馬車へと再度入った私とリオンは獣人達を抱きかかえて降ろし…使用人へと渡した。

今回、王都を出る前に準備しておいた獣人用のカゴに獣人達を乗せる。

キャティ様のように完全獣化だった時の為に用意しておいたのだ。

両手で抱えられる蔓で編んだ籠に柔らかいクッションを敷き詰めたソレは小動物用のベッドのようになっており、そこに乗せられた獣人達は足元のクッションを何度か踏んで確かめると…気持ち良さそうに寝そべった。

そんな獣人達を見ながら…これはもしや売れるのでは無いか?と考えてしまう。

その内、ティアさんと打ち合わせしようと思う。


そのまま使用人達に連れられていった獣人達は、最初に湯浴みをし…その後に食事となる。

最後にペルノが馬車を降りると、お兄様もリナリアも吃驚した顔で彼を見た。

彼の容姿がチャミシル様にそっくりだったからだろう。

そして…獣人特有の獣耳が目に入ったのか、更に驚いた顔をした。

「ペルノは自分で歩ける?とりあえず、温かい湯船に浸かって体を清めたら…その後に食事になると思うから。」

「ん、分かった。」

ペルノにサッと説明をし、案内を使用人に任せると…私もリオンも着替える為に私室へと向かう。

アレスはお兄様と共にリビングへと移動した。


着替えを終え、私とリオンもリビングへ行くと…中にはお兄様とアレスの他にリシェ様とリナリアも揃っていた。

無事に仕事を終えて帰ってきた報告をすれば、リシェ様はどこかホッとした顔で微笑んで「ありがとう。」と頭を下げる。

王太子殿下という身分だが、私達に向けたその笑顔は年相応の青年の顔で…彼が王太子だからという気持ちからでは無く言ってくれた言葉なのだと思えた。


「獣人達の他に…公爵家の屋根裏で見つけた青年も連れて来ちゃいました。」

ペルノの存在をリシェ様は知っていたのだろうかと問いかけたが、リシェ様は吃驚した顔で首を左右へと振った。

リシェ様が加担した後に…ロマネス殿下が動いたからなのだろうか?

だが、獣人達はリシェ様の指示で別邸へと移されていたから誰かしらから聞いていても可笑しくなかったはずなんだけど…。


「公爵には僕の存在はバレてなかったはず…意図的にこちら側に伝わらないようにロマネスの方で隠したのかな?」

暫く考えていたリシェ様が呟いた言葉に私達も頷く。

ロマネス殿下が自身とチャミシル様が関わっている事をリシェ様に隠したかったのだろう。


…ロマネス殿下は、今回の事にリシェ様が関わっている事をどうやって気づいたのだろうか?

ふと、そんな疑問が頭を過った。

リシェ様とロマネス殿下は仲が良いと言う程では無いと思う。

それこそクロード殿下とジュード殿下みたいな感じだと思っていた。


「リシェ様は…この計画の事でロマネス殿下に何かを聞かれたりしませんでしたか?」

私の問いかけにリシェ様が少し考える素振りで上を見た。

暫く悩んでいたようだが、何かを閃いたのか此方を見てリシェ様が話し出す。


「今回の計画の少し前にオステリア王国のジュード殿下と共にロマネスが僕のところに来た事があった。だけど、その時の記憶を辿っても…計画の話をした覚えは無いし…。」

うーん…と悩むリシェ様は、更に思い出した事があったのか話を続ける。


「あの時…ジュード殿下の侍従がやけに目に付いたな。侍従なのに主人の許可無く話をするなんて事は珍しいのに…彼はよく口を挟んでいた気がする。」

ロマネス殿下の事が聞きたくて話を聞いていたが、何故かロマネス殿下よりもジュード殿下の侍従の話になってしまった。

だが、確かにリシェ様がおっしゃるように侍従がそんなに目立つ事は珍しい。

それだからこそ…リシェ様も印象に残っていたのだろうなと思う。


「彼が口を挟んでもジュード殿下が何も言わなかった事にもかなり驚いたよ。」

「「「え?」」」

ジュード殿下ならば自身の侍従が口を挟んだら怒りそうなイメージなのにな…と、思わず声が出てしまった。

隣のリオンとリナリアも私と同じように驚いていた。


「ジュード殿下が何も言わないとは…意外でした。」

私の言葉に力強く頷いたのはリナリアだった。

「お姉様の言う通りですわ。ジュード殿下ならば直ぐに怒って侍従を下げさせるか…クビにしていても可笑しくありませんわ!…あっ、ですが…何年も前になりますが王宮でお会いした際に気に入っている侍従がいると言うのは伺った事がございます。」

驚いた声で反論したリナリアだが、直ぐに何かを思い当たったらしい。


「その侍従が何者か…は、明日にでもクロードに聞くとしよう。リリアは聖女様にも手紙を送るのだろう?とりあえず色々と考えるのは彼らが話せる状態にまで回復してからになるだろうし、それまではリオンもリリアも普通に過ごした方が良いと思う…それとロマネス殿下には公爵が捕縛された事はまだ伏せておいた方が良い。」

お兄様は私とリオンの頭をポンポンと優しく撫で「二人もゆっくり休むんだよ?」と微笑んだ。


「聞きたい事は山ほどあるけど…とりあえずは休息と腹ごしらえだね!」

そう言ってお兄様は片目を瞑りウインクをしたので、元気良く笑顔で答えると…更に笑みを深めて笑うのだった。

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