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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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国境を越えて

国境に到着すると、ワインバル王国側は騎士団から先に連絡が来ていたらしく簡単な身体検査と荷物検査を行っただけで通してくれた。

問題はオステリア王国側だとドキドキしていたが、オステリア王国の国王陛下とワインバル王国の国王陛下から預かった二通の書状を渡した所…何故か国境を管理している辺境伯がすっ飛んできた。

「事情は伺っておりますので!」と言って身体検査と荷物検査…そして、私とリオンとアレスの身分証の提示だけで通してくれるそうだ。

冒険者ギルドに所属しているので、ギルドカードを提示すると何故か引かれてしまった。


国境を越えた私達は再び馬車に揺られ…王都を目指す。

私は先ほど提示したギルドカードを眺めながら首を傾げていると、隣のアレスが私のギルドカードを覗き込んだ。

「どうかしたの?」

覗き込んだアレスが不思議そうに私の顔を見て問いかける。


「さっき…ギルドカードを見せたら引かれたんだけど…何でだろうって思って。」

アレスの問いに答えると、アレスは一度キョトンとし…そして苦笑いを浮かべた。

その表情に今度は私がキョトンとしてしまう。


「多分だけど…ランク見て吃驚したんじゃない?まだ未成年なのにAランクに星が付いてるから。」

冒険者ギルドで初めてギルドカードを手にした時には既にAランクだった私とリオン。

更に様々な依頼を熟し…早二年。

Sランクの一歩手前の星付きとなっていた。


「そもそも…オステリア王国内にSランクは二人しか居ないし、星付きのAランクだって両手で足りるくらいしかいないのに…そのうちの3人が来たらそれはもう吃驚すると思うよ?」

クスクスと笑いながら説明するアレスに、成程!っと思って頷く。

因みに国内のSランク冒険者は祖父母だったりする。

あの二人を超えられる日は、果たして来るのだろうか。


私達の会話を聞いていた獣人達はビクッと体を震わせたのに気づき、慌てて声をかける。

「違うの!えっと…いや違わないけど、違うの!!私達は力があるからってそれに驕ったりするつもりとかなくて…だから、その…とにかく私達は貴方達に危害を加えようとかそんなつもりはないです!」

私の必死のフォローに何故か獣人達はキョトンとしていた…。

あれ?なんか違った?


「思うんだけど…普通に強い事に驚いただけだよ。」

膝を抱えて座っていた青年がボソリと呟くと、獣人達もコクリと頷いた。


「だって…あんたら普通の貴族なんだろ?見た目や振る舞い方がそうじゃんか?そんな奴らが冒険者ギルドに所属してるのにも驚いたし、ランクだってそうだ…何にもしなくても暮らしていける貴族様がどうして高ランクなんだよ…。」

鋭い眼差しで睨みながら話す青年は、貴族が嫌いなようだと思った。

まぁ…嫌いにもなるわな。


「あと、何でこんなに俺達の事に一生懸命になるんだ?それなのに俺達の事を聞こうともしないじゃないか…何考えてんだかさっぱり分かんねぇ。」

そう呟くと、青年は再び顔を俯かせてしまう。


「…だって、辛い話を何度もしたくないでしょ?」

青年の問いかけの答えになるかは分からないが、とりあえず思っている事を伝える。

私達の考えが分からなくて不安にさせていたら申し訳ないと思ったから…。


「皆様は攫われてあの邸にいた…貴方はちょっと事情が違うかもしれないけど。どちらにしろ、それって辛い事でしょ?それを私達が聞いて…邸に戻ってからまた話して…何度も傷口を抉るようで嫌だなって思ったの。」

話す方は…話す度に傷口を抉られる。

自分では気付かないうちに…自分の傷を抉って…気づいた時には精神を病んだりする。


「それに…私達が皆様の事情を聞き出し、それを伝えたところで…正しく伝えられる自信も無い。当事者の言葉じゃないと、ニュアンスだって違ってくると思って…。だから今は聞かないつもり。」

私の解答に青年は再び顔を上げて…口を開けたまま固まっている。

そんなに可笑しかったのだろうか?


「私達が皆様を高待遇で迎えているように思うかもしれないけど…それは私達が公爵家の人間だから。貴族は民の為にあると思っているから…かな?うーん…ちょっと違う?えっと…なんて言ったら良いんだろう。」

どう説明しようかと悩んでいると、それまで黙っていたリオンが話し出す。


「まぁ、一言で言えば…リリアがお節介だからだよ。ほっとけないの!こっちの自己満足に付き合わせて申し訳ないね。」

リオンは“仕方ないなぁ“みたいな顔で話すので…ちょっとイラッとした。


「それを言ったら、リオンだってそうでしょ?」

「うん、そうだけど?」

ムゥッとして文句を言えばあっさり返されてしまう…。

更にムゥッと頬を膨らませていると、何故か青年が肩を揺らして笑い出す。


「あはは…あんたら本当に貴族かよ?貴族ってもっとお高くとまってるんじゃないの?はぁ…あんたら見てたら警戒してる自分が馬鹿みてぇ…。」

青年はストンと膝を床に落とすとダラっと体を背もたれに預けて…先程とは打って変わった態度で話し始める。


「いいよ…俺は何度聞かれても平気だから、邸に着くまでに質問してこいよ。」


ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

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