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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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余罪と豹変

姿絵の束を手に取り、ペラペラと捲ると…私は再び公爵を見た。

そう…軽蔑した眼差しで。


どの姿絵もとてもよく描かれている…可愛らしい男の子が。

つまり…ショタコン。

あのキモい親父がショタコン…。

…無理。


そして私は再びアレスによって拘束されていた青年へと顔を向けると、彼は怪訝な顔をする。

「…掘られてない?」

「は?」

見た目こそボロボロだが、チャミシル様と間違えたくらいには整った顔をしているし…幼くも見える。

チャミシル様も童顔だが、彼も童顔だと思う。


「おいっ!何の話だよ?」

「いや…分からないなら良いけど、とりあえず全身を医者によく見てもらった方が良いと思う。」

分からないなら分からないままの方が彼も幸せだろう。

だが、もし万が一にもキモいオッサンに掘られていたとしたら可哀想なので医者を勧めておく。


「さて、公爵様?これは…獣人の人身売買だけではなさそうですね?児童ポルノの疑惑も浮上しましたよ?」

ゆっくりと公爵に近づくと、ヒラリと姿絵の束を公爵へと見せる。

ワナワナと唇を震わせ…ガクガクと膝が笑っているようだ。


「おいっ!私にも見せろ!」

指揮を取っていた騎士様が駆けつけ私から姿絵の束を受け取るとペラペラと数枚捲った。

その背後から他の騎士様も見てしまったのだろう…姿絵の束と公爵を見比べて軽蔑したような目を向ける。

「余罪もたっぷりありそうだな…とりあえず、これも預からせてもらう。」

そう言って部下に姿絵の束を渡すと騎士様は捜索に戻って行ってしまった。


「うーん…思ったのと違ったから、今度は公爵様からの目線で探してみようかな?」

テヘッと笑うと、公爵の目を見つめる。

ジーっと見つめていると、公爵がチラリと目線を外した。


「あっちね!」

公爵が外した目線の先の本棚へと進み、天井まである本棚をサッと見渡す。

騎士様に頼み公爵も一緒に本棚へ連れてきてもらうと、再び公爵の目を見つめた。


「みっ…見るなっ!なんだ…どんな魔法を使っているんだ!!」

「え?見てるだけですよ?」

魔力など1ミリも込める事なく公爵の目だけ見る。

彼の目は口よりも多くを語ってくれていた。


私の目に耐えられず、彼は直ぐに視線を外す…その先に目を向ければどこか違和感のある一段を見つけた。

背表紙を撫でれば本と本が張り付いている。

五冊ほど一緒になった本の塊を取り出すと、裏返す。

箱状になっており、蓋を外せば…今度こそお目当ての物と出会う。


「…ありましたね。」

箱から取り出した紙の束を数枚捲り確認すれば、今回攫ってきた獣人達の特徴が描かれた紙や金額が記された帳面なども出てくる。

私の呟きに再び騎士様方が近づいてきて、書類を確認した。


「確かに…これだけの証拠があれば問題ないだろう。」

「いえ、まだ足りませんよ?」

騎士様の言葉に反論すると、不思議そうに私を見返す騎士様。

そう…本命はこれだけど、私には不十分だった。


「公爵様ぁー?足りないんですの!」

自分でも信じられないくらいの猫撫で声で公爵を呼ぶと、公爵は何故かデレデレと嬉しそうに私を見る。

さっきまで怯えていたのに頭おかしいんじゃないだろうか?


「リリア、アレが欲しいの!公爵様のぉー…大切なア・レ・が・欲・し・い・の!」

ツンツンと肩を優しく突くと、気持ち悪いくらいの反応を見せる公爵。

オッサン…ショタコンだけじゃないのか?


「リリアというのか?何が欲しいんだ?ん?」

デレデレとデレるのでニッコリと微笑み、上目遣いで公爵を見つめる。

「公爵様のぉ…大切なぁ…鍵?」

一語ずつ吐息を吐き出すように喋ると、最高潮までデレた公爵が首元を緩めた。

すかさず襟に手を突っ込み、ネックレスを掴むとブチッと引きちぎる。


「で?これはどこの鍵な訳?吐きなっ!」

鍵を眼前へと突き出し、先程の甘さを1ミリも残さず…公爵へと詰め寄る。

公爵はデレた顔を一瞬で青くさせ、信じられないものを見る目で私を見た。

レディに対して失礼だと思う。


「おいっ!テメェの股間が使い物にならなくなる前に早く吐きな!」

ガッと腹を蹴飛ばし、公爵を転がすと尖ったヒールを股間へと当てる。

「ヒィィー…。」

公爵はガクガクと震え出し、何故か周囲の騎士様方も震え出す。


「あっ…そっ…それは…絵の…裏の…。」

「あれの事?」

震える声で吐き出すように喋る公爵の目を追い、一枚の絵画を見る。

それまで大人しくしていたリオンが絵画を外せば、壁には金庫のような物が埋め込まれていた。

私が鍵をリオンへと投げ渡すと、リオンは扉を開ける。


中からはお金と…お目当ての証拠が出てきた。

それを確認した私は思いっきり足を振りかぶって股間を蹴り上げる。

「っつ!!!!!???」

声にならない声を上げ…その場から動かなくなった公爵を見下ろした。

「いらないでしょ?そんな汚いもの。」

ペッと吐き出した言葉に周りの騎士様方は公爵へ同情の目を向けていた。


「あったわね。」

金庫から取り出したのは鍵の束と書類箱。

書類箱の蓋を開ければ、ロマネス殿下とチャミシル様が関わった証拠の書面が出てきた。

それを騎士様へと渡すと、騎士様は鍵付きの大きな鞄へとしまう。

世に出すには危険な物なので、厳重に運び出し国王陛下へと渡すそうだ。


一通り終わったかなと振り返ると、何故か騎士様方は股間の辺りを庇いながら私を見ている。

コテンと首を傾げリオンを見ると、同じように股間の辺りを庇っていた。

「え?蹴らないよ?蹴るわけないじゃん!それより、私の足を魔法で浄化してくれない?気持ち悪くて…。」

先程、蹴り上げた公爵の股間の感触が未だに残っていて気持ち悪いのでリオンへとお願いすれば直ぐに魔法で浄化してくれた。


「もう…あんな事、絶対にしちゃダメだよ?」

「…なら、止めれば良かったんじゃない?」

メッと叱ってくるリオンに反論すれば、リオンはコテンと首を傾げる。


「え?なんで?面白いのに…なんで止める必要があるのか分からないんだけど。」


ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。


リリアさんの暴走が酷い。

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