表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
172/318

とりあえず連れ出します

バーンッと扉を開こうかと思ったけども、驚かせてもいけないのでソッと扉を開く。

中を覗けば見張りの人は居らず、獣人達は部屋の隅で身を寄せ合って私達を見ていた。

全ての獣人が完全獣化したままだった事に思わず眉間に皺が寄る。

…身を守る為に完全獣化する…つまり、彼らはずっと心休まる事なく過ごしているのかも知れない。


「初めましてオステリア王国から来ました、リオン・クリスティアです。此方は妹のリリアです。」

部屋に入り、扉を閉めるとリオンが防音の魔法をかけたのを確認し挨拶をする。

獣人達は私達を怪訝な表情で見つめる。


「今、此処はワインバル王国で…私達は皆様を獣王国へと戻すべく救出に参りました。」

現在どこにいるかも分からない状況だと思い説明すると少しだけ表情が和らぐ。

だが…やはり警戒心が強い。

仕方ない事だと思うけども…。


「突然来た私達の事を信じられないとは思います。救出時は抱きかかえますが拘束する事はありませんし、馬車に乗ってからも同様です。外に出たら好きなようにして頂いて構いませんが…出来たら皆様を安全に獣王国まで送らせて頂けないでしょうか?」

深々と頭を下げると、隣のリオンも同じように頭を下げる。

すると、リオンの鞄からスルリとキャティ様が飛び出し獣人達の傍に寄った。


話すように互いに鳴き合うと、再びキャティ様はリオンの足元まで来ると脛をタシタシと叩く。

リオンはキャティ様を抱き寄せ頬に唇を寄せると、鞄へと戻した。


「キャティが…この事件の事を僕に教えてくれて、僕達は皆様を助けたいと思いました。どうか…僕達に付いてきてもらえませんか?」

再びリオンが深々と頭を下げると、一匹の猫の獣人が近づいてきてキャティ様と同じようにリオンの脛をタシタシと叩いた。

その猫の獣人に続き、他の方々もゆっくりと私達に近づいてきてくれる。


私のところには猫の獣人三匹と兎の獣人一匹が、リオンには猫の獣人一匹と兎の獣人三匹が近づいてきたので腕で抱きかかえる。

リオンが防音の魔法を解除すると、ソッと扉を開き…見張りがまだ眠っているのを確認すると部屋を出た。

階段の手前まで来るとリオンは階下を確認し、私は見張りを拘束していた魔法を解く。

階下の確認を終えたリオンが大丈夫だと頷くので一気に階下まで降り、裏口へ向かう。


裏口までもう一歩という所で人の話し声に気づき、慌てて手前の部屋へと潜む。

「それにしても獣人と聞いたが、ずっと獣化したままでは…ただの動物としか思えないよな。」

「全くだ!最初に連れてきてから数週間も経つが…一体、どこの誰が獣人なんか買うのかね?」

邸の使用人達の言葉に腕の中の獣人達が怒っているのが伝わってきたが…それ以上に私とリオンが今にもブチギレそうだった。

自分達のパートナーが獣人という事もあるが、それ以前に獣人達への扱いに腹が立つ。


「馬車に避難させたら…潰しにくるか。」

「…賛成。」

ボソリと呟く私達に怒りで震えていた獣人達の動きが止まった。

いや、心臓が止まる勢いで体が硬直している。

肩掛け鞄の中のキャティ様にタシタシとリオンが叩かれ、慌てて漏れ出た殺気を抑える。

「「ごめんなさい。」」と小さな声で謝罪し、使用人達が通り過ぎるのを待って部屋を出た。


裏口に辿り着くと、潜んでいたアレスが顔を出したので獣人達を手分けして持ち…邸を後にした。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

遅くなりましたが、更新出来ました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ