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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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聞き耳を立てる鼠

「ふぅ…美味しかった。」

厨房だと迷惑になるのでリビングへと移動し、お茶を飲む。

兄妹の四人でお茶をするのは久しぶりだな。


「今日…僕達が保護した獣人に会いに行ってきました。」

お茶を飲むばかりで話さないのかなっと思っていると、リオンが突然口を開いた。

リオンが自分から話し出すのって珍しい気がして、私は黙って聞く事にする。


「その子…キャティ・カリューア嬢は元子爵令嬢でした。」

「…元?」

リオンは今日知ったばかりの情報を簡単に説明すると、お兄様もリナリアも眉を寄せ…辛そうな顔をする。

私の兄妹は優しいのだなと感じて、ちょっと嬉しかった。

隣に座るリオンも同じような事を思ったのか、二人の表情に複雑そうに笑う。


「キャティは…僕の“運命の番“でした。」

リオンの告白に、二人には珍しくコロコロと表情を変える。

先ほども思ったが、家族間では表情豊かな方が嬉しい。


「おめでとうございます!リオンお兄様にもお相手が見つかったのですね?」

リナリアが嬉しそうに笑うと、リオンも照れ臭そうに笑い返す。

「おめでとう、リオン。…“運命の番“って言うのは、どうやってわかるものなんだい?」

お兄様も嬉しそうに微笑んだ後、不思議そうに首を傾げた。

そして私とリオンを交互に見たので、私もリオンを見た。

リオンは一つ頷くと、ステータスボードの話をする。



一通り…キャティ様の話を終えたリオンは、今度は私を見た。

どうやら此処からは私が話をしなければいけないようだ。

…一瞬、部屋に防音の魔法をかけようかと悩んだが…止めておく。

それを見たリオンが不思議そうな顔で私を見た。

“気づかれてもいいのか?“と言った感じだろうか。


先ほどから私もリオンも違和感には気づいていた。

部屋の外で…誰かが息を潜めて話を聞いていると感じていたのだ。

最初に気づいたのは、リナリアがリオンに笑いかけた時。

微かな物音が聞こえ…その後は逆に静か過ぎた。

人が行き交ってもおかしくない廊下で…静寂はおかしい。


私はゆっくりと立ち上がり、音を立てずに扉へと向かう。

「どうせなら…廊下で聞き耳を立てている方もお招きしましょうか!」

ガチャリと開けば、扉にくっついていた鼠が部屋へと転がってきた。


「どうかなさいまして?リシェブール王太子殿下。」

リシェ様はスクっと立ち上がると、何事もなかったかのように微笑む。

その笑顔は顔に貼り付けたようで気持ち悪いくらいだった。


「いやぁ、皆んなが帰ってきたって聞いてお出迎えしないとなぁって思ってきたんだけどね。」

「……無理がありますよ?」

いつものチャラい感じに話すリシェ様をバッサリと切り落とす。

リシェ様は笑顔を貼り付けたまま「えー?」とか惚けるので追い討ちをかける事にする。


「演技…下手ですよね?」

私の言葉に貼り付けた笑顔を無表情に戻し…リシェ様はつまらなそうに私を見た。

そして、部屋にいる他の面々にも目を向け…溜息を吐く。


「そんなに下手だったかな?」

素に戻ったリシェ様は扉に背を預け、私を見下ろしながら冷たい目を向ける。

喋り方は柔らかいが、表情は無い。


「かなり無理があったんじゃないですか?顔が気持ち悪かったですよ?」

正直に伝えると、リシェ様はクツクツと笑い出す。

時折「気持ち悪いって…」とかブツブツ聞こえた。


「…君はどこまで気づいたんだい?」

諦めたような、試すような…どちらとも取れない顔で私を見ながらリシェ様は問いかけてきた。

どこまで…うーん?

むしろ、どこがスタートでどこがゴールなのかも分からないのだけど。


「そこそこってとこですかね?」

「ふっ…はぐらかすのか?」

よくわからなかったので、そのまま言ったつもりなのに…鼻で笑われた。


「君達は…どこまで僕の計画を壊すつもりなんだい?」

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