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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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一旦、冷静になりましょう

「あれ?リオンが起きたみたい…リオン?」

猫を抱きしめたまま寝てしまったリオンの瞼がゆっくりと開き、瞳に私を映す。

大きな欠伸をし、全身で伸びをしたリオンは抱きしめていた猫を持ち上げた。


「君の事を教えてくれてありがとう。」

ふわっと優しい笑みで猫を見れば、猫もコクンと頷く。

そして再び猫を抱きしめ…私達を見た。


「この子が夢に出てきて教えてくれたんだけど…僕、とりあえずワインバルの公爵家を潰してきても良いかな?」

「「ダメだよ!?」」

リオンはいつものようにコテンと首を傾げながら、サラッと恐ろしい事を言い出したので私とアレスは全力で止める。

するとリオンは反対側に首を傾げて不思議そうな顔をした…が、それでもダメなものはダメだ。

リオンの腕の中にいた猫も吃驚した顔でリオンを見ているじゃないか!


「え?ちょっと何言ってるか分からないんだけど…なんでダメなの?」

「いやいやいやいや、隣国と戦争になったりしたら困るでしょ?慎重にいかないと!」

普段のリオンからは考えられない発言を連発している。

いつもなら慎重なのに…。


「じゃぁ…分からないように潰せば良い?」

「まぁ…それなら良いか…」

「ダメだよ!!?」

名案だ!みたいにリオンが言ったので私も頷きかけると、アレスが思いっきり止めに入った。

…が、アレスも少し悩んでるように思えるのは気のせいではないだろう。


「……ダメ…なのか?」

ボソッと呟くアレスに私もリオンも悩み始める。

バレなければ…大丈夫か?


「とりあえず、冷静になる事をお勧めするよ。キャティが怯えてるじゃないか…。」

聖女様の言葉にリオンは慌てて抱きしめていた猫を見る。

プルプルと少し震えていた。

リオンは猫を落ち着かせるように、ゆっくりとその頭を撫でる。


「ごめんね?君の気持ちを優先するべきだったね?…君はどうしたい?」

リオンが優しい声で猫に話しかければ、猫は戸惑ったような目をリオンに向けた。

猫のままだと喋れないようで…どうしたら良いのか困っているようにも見える。

その様子を見たアレスが、リオンの隣へと移ると…猫に向かって何かを話しかけた。

暫くアレスと猫が何かを話し…アレスは一つ頷くとリオンに話し始める。


「穏やかに暮らしたい…出来るならリオンの側に居たいみたいだけど、リオンはどうしたい?」

アレスの言葉にリオンは吃驚した顔をして、猫を見た。

猫はコクンと頷くので、アレスの言葉は正しいようだ。


「僕は…君が望む生き方が出来れば良いなって思う。そこに僕も居させてもらえたら嬉しいし、手伝える事があったらもっと嬉しい…かな?」

今まで見た事のない、蕩けるような優しい笑みで猫を見つめるリオン。

…あっ、違うや…あの顔はプリンを初めて食べた時の顔だわ。


ーーーーーベシッ!!

突然、リオンから鋭いツッコミが入る。

どうやら私の思っていた事が伝わってしまったらしい…猫を見つめていたのに器用なやつだ。



「…今更なんだけど、私達…自己紹介してないよね?」

ずっと猫とか獣人て思っているのも失礼だな…と今更ながらに思って提案すれば、リオンがソファーへと座り直して姿勢を正した。


「君の名前はキャティだったね?キャティ嬢、僕はリオン・クリスティアです。」

キャティ様の名前を呼び、リオンが自己紹介をする。

その横から続いて私も声をかけた。

「私はリリア・クリスティアよ。リオンの双子の妹なの。」

「僕はアレス・ペチェリーヌ、リリアの婚約者で“運命の番“だ。」

私に続いて、アレスが自己紹介すると…何故かキャティ様は目を瞬かせ私達を交互に見た。

どうやら“運命の番“という言葉に反応したようだ。



「さて、“運命の番“なんて言葉が出たからリオン達も調べてみるかい?」

私達が自己紹介を終えると聖女様が声をかける。

聖女様の言葉に全員がキョトンとした顔になってしまい…聖女様はその場で笑い転げてしまった。


「え?調べるって何をですか?」

なんでそんなに笑っているのか不思議に思っていると、聖女様は笑いながら「“運命の番“だよ。」と言うから更に首を傾げる。

その様子に更に笑いがエスカレートして…終いにはヒィヒィ言って苦しそうにする聖女様。

暫く呼吸を整えるために待っていると、聖女様はコホンッと一つ咳をして…やっと落ち着いたようだった。


「“運命の番“に出会うとお互いのステータスボードに出るんだが、一度教会に来ないと表示されなんだよ。」

聖女様がそう言って、私にステータスボードを開くように促す。

言われるままにステータスボードを開けば、今まで無かった表示が一つ増えていた。

「リリア、お前…教会に来たのは久しぶり過ぎやしないかい?」

聖女様にジト目で睨まれてしまう…が、その通りだったので謝罪する。


私のステータスボードには“運命の番“/アレス・ペチェリーヌの文字が増えていた。

アレスも同じようにステータスボードを開くと、嬉しそうに笑っている。


そんな私達を見て、リオンも恐る恐るステータスボードを開くと…吃驚した顔のまま固まってしまった。

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