表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
158/318

夢の世界①

リオン視点です。

夜よりも暗く先の見えない世界に僕はいた。

ここは…夢の中だろうか?

灯り一つない世界で僕は一人首を傾げる。


いつも見る夢と違って…僕の意識は結構しっかりしているな。


ふと気づけば、それまで暗くて見えていなかった場所に小さな光が灯る。

そこには一匹の猫がこちらを見て座っていた。

少し紫がかった淡くて美しいシルバーの毛色、瞳は淡い碧色で…とても美しい猫だ。

僕を見ていた猫は、スッと立ち上がると…数回僕を振り返りながら先へと進んでいく。

まるで「付いてこい。」と言っているように思えて僕は猫を追いかけた。



広い美しい草原…その先に一軒の邸が見える。

先ほどまで目の前にいた猫はいつの間にか姿を消し…僕は邸の方へと歩いた。


「お父様ー、お母様ー!!」

邸に近づくと、外には可愛らしい猫の獣人の兄妹が居た。

お兄ちゃんとお姉ちゃんが妹に合わせて遊んでいるようで、それを近くで見守る両親も見える。

とても幸せそうな家族がそこにはあった。

その光景を見ていれば、再び猫が僕の前へと来る。

すると、それまであった家族の光景が一瞬で変わった。


「もう…ダメだ、こんな事になるとは…アイツは…アイツは私を騙したというのか?だってアイツは幼馴染でずっと親友だったんだぞ?」

「貴方…せめて子供達だけでも…。」

「あぁ…そうだな、子供達だけでも何とか…。」

どんよりと重く、暗い部屋には先程まで幸せそうに笑っていた家族の両親がいた。

とても思い詰めた顔で…手紙のような物を握りしめている。


「お父様、お母様…。」

その様子を心配した先程の兄姉が部屋へと入ってきた…妹だけ居ない?


「キャティは学園にいるから大丈夫だろう…私達にも危険が迫っている、二人は馬車に乗り此処を離れるんだ。」

「そんな…お父様とお母様は?」

離れ離れになっていく家族…子供達をなんとか逃がそうとする両親。

しかし、その暗い部屋には盗賊のような男共が乗り込んできた。

後ろの方で嫌な笑みを浮かべて指示を出す男…そして家族は襲われ…命を奪われていく。

思わず目を背けたくなるような光景に耐えきれず、手を伸ばすが…僕は透明になってしまったかのように何も触れず…ただただ見ている事しか出来なかった。


指示を出していた男が「娘が一人足らない。」と叫び、邸の中を荒らし回るが…見つかる事はなかった。

男は既に事切れて倒れている父親の元に行くと、その手に握られた手紙を奪い舌打ちをした。

「学園か…仕方ない、アイツは金に変えるとしよう…。」

そう言って男達は邸を出て行った。

僕は慌てて床に倒れている家族を見て回ったが…もう既に、息は無かった。


いつの間にか近くに猫も来ていて、僕の足に擦り寄る。

僕に触れるのだと気づき、僕は猫を抱き締めた。

小さく「にゃぁ…。」と鳴いて…猫は次の景色を僕に見せてくれる。


先程の妹が侍女と共に邸に戻って来た…。

少女は猫と同じ紫がかったシルバーの髪をハーフアップにし、淡い碧い瞳には溜め切れず涙が溢れていた。

殺された日から一日・二日経っているのか、荒らされた室内は綺麗に整えられ…床に倒れていた家族は並んで寝かされている。

見た目も綺麗にされていて、一見すれば眠っているようにすら思えた。

泣き叫ぶでも無く呆然と…少女の瞳からは涙が流れた。


不謹慎にも彼女を美しいと思ってしまった…そして、この手で抱きしめてやれない事に思わず手に力が入る。

抱きしめていた猫がビクッと体を震わせた事で僕は慌てて手を緩め「ごめんね。」と声をかけた。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

長くなってしまったから、途中ですが…今日はここまでです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ