リオンとの誓い
「リオン、リリア。明日から暫く王都の邸で過ごすから用意をしなさい」
ある朝、お祖父様は届いた手紙を片手にそう告げる。
そして…私専属の侍女マリーがサッサと準備を終えてしまった。
王都の邸では私たち双子の誕生日をお祝いするべく準備がされているらしい。
パーティーは昼間に行われ、家族以外にも同年代の貴族が招待される。
私たちは3歳から領地にいるので誰が招待されるのかも分からなかった。
同年代の貴族と言われ思ったのは“攻略対象“だった。
公爵家のパーティーに来るのだから殆どが高位貴族に違いない。
つまり、ここが何かしらの世界で私が悪役令嬢ならばヒロインとその攻略対象がいるはずなのだ。
恐らくは兄のリーマスかリオンも攻略対象に含まれている。
そうなれば、いずれ私は断罪されるに違いない。
その相手がリオンならばと考えて私は絶望しそうになった。
あの美しい顔が…優しい声が、私を断罪するところを思い浮かべて悲しくて泣きそうになる。
その時が近づいて、もし断罪されるのに気が付いたら…私は姿を消そうと思う。
『ボクはリリアを傷つけたりしないよ!』
突然、頭の中でリオンの声が響いたかと思うと後ろから抱きしめられた。
ぎゅっとお腹に手を回されてリオンの額が肩に乗る。
まだ幼い私たちは身長差もなく、すぐ後ろにリオンの顔があるのが分かる。
『決して悲しませないって誓うから!だから姿を消すなんて言わないで?』
グリグリと肩に額を擦りながら、リオンは私の頭の中で力強く宣言すると腕を離した。
私は振り返り、逆にリオンを抱きしめた。
『もう言わない!思わない!私もリオンを悲しませないって誓う!』
ぎゅうっと力を籠めると再びリオンも抱き返してくれた。
リオンなら信じられる!
常に互いを思い合える存在だからこそ、何かあれば必ずすぐに相談しようと思う。
そして拗れる前に修復してしまおう
私とリオンならばそれが出来る。
だって、この世で一番大好きな双子の兄なのだから…