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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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討伐開始

翌朝はとても晴れやかな空をしていた。


「うん!討伐日和だね!!」

テントを出て伸びをしながらリオンに向かって話せば、リオンは笑いながら頷いた。

昨夜はとても静かだと思っていたのだが…どうやらそうでもなかったようだ。


私とリオンが護身のために用意した罠に何故か騎士団員数名がかかっていた。

それを見た班長や騎士団長は端から拳骨を落としていく。

どうやら私を狙ってテントに忍び込もうとしたが、その前に罠に引っかかったらしい。


「……騎士様方は、大丈夫なのでしょうか?」

色々な意味で問い掛ければ、帰ってから特別メニューで扱くと力強くジン様が言っていた。

ぜひ、そのメニューを私も拝見したいと思う…好奇心で。


「さて、森の中心部へ移動したら各班で別方面への探索を行ってもらう。」

朝食を終えて騎士団員が集合すると、ジン様から今日からの討伐予定の細かい説明がされた。


期間は昨日を入れて十四日間、そのうちの二日は王城との移動に費やされるので実質は十二日間となる。

最初の四日は準師範試験として補佐をする。

その後、一日は休息とこれまでの報告…そして翌日からの計画を練る。

次の四日は師範代試験としてリーダーをする。

最後の三日は討伐漏れがないか等の確認と近隣の町村への状況説明などを行う。


今回の討伐対象は大熊、大猪、大蛇など冬眠前の魔獣だ。

特に大きい個体は冬眠準備のために町村へと下りてきて食物を奪い、時には人も襲うそうだ。

サイズ制限があり、小さい個体や雌は討伐対象とならない。

親子連れの魔獣は子を守る為に攻撃的になるので、眠らせて森の奥へと返すそうだ。


今回は魔術師団の要請をしていないので、騎士団の中で魔法が使える者やポーションなどを使って補うように指示があった。

討伐した魔物は、その場で解体して素材と食料と分ける。

近隣の町村で希望があれば食料は提供するそうだ。


「以上だ!気を引き締め討伐にあたってほしい!」

「「「「「はい!!」」」」」


騎士団長の話が終わり、私達は森の中心部へと移動した。

その道中に大猪が数頭…姿を現したが、騎士団長が率いる班でサッと倒してしまった。

連携が良くできていて、ジン様の指示も的確だった。

あそこまで…とは、いかないけど私も頑張ろうと思う。



森の中心部に到着すると、各班が別方向へと探索を開始する。

補佐の私は前衛組に入り、班長は後衛へとついた。

探索を始めて暫くすると大蛇が現れる。

“森の大蛇“と呼ばれ、大きさは…何メートルだこれ?

10メートルを軽く超えている。


「後衛は足止めを、前衛は私の号令で攻撃してください!」

班長が指示を出すと、それぞれに動き出す。

私もサッと剣を出し構えた。


「“森の大蛇“の心臓は最高級の素材になりますが、残しますか?」

私の声に班長は目を見開き、すぐに「お願いします!」と返した。

「では、前衛は二手に分かれて…まずは三等分に。その後で更に細かく切りましょう!」

班長の細かい指示に従い、私達は二手に分かれる。

私は大蛇の顔に近いところで、合図を待った。


「攻撃開始!!」

班長の合図とともに前衛組が駆け出すと、後衛組はその後に続く。

私はサッと飛び上がり大蛇の長い胴体に剣を突き立て、地面に当たるまで貫いた。

そして私に続いた団員がその近くに剣を突き立て下へと切り裂いた。

次々と同じ動作で太い胴体を切り裂いていく。

見事に三等分された大蛇は既に虫の息だった。


他の騎士団員が細かく切り刻む中、私は心臓部へと移動し心臓を取り出す。

最初の一撃に程近い所にあった心臓を見ながら、この蛇が森に長く住み…水辺では生息してないのだと思った。

素材用に用意された保管袋へと収め、他の騎士団員に混じって大蛇を解体する。

その後は、森の木が少ない所を探し地面を掘る。

そこに細かくなった大蛇を入れると火をつけ、騎士達は剣を地面へと刺した。

大蛇が全て灰になると土をかけて、そこに騎士達がワインをかけていく。


「黙祷!」

班長の号令で黙祷し、魔獣を天へと送る。

この儀式は必ず行われる。


冒険者ギルドで依頼を受けた時も、討伐の証として一部を残し…素材を取った後は同じように供養する。

彼らが安らかに眠れるように…そして新たに生まれる命を願って。

今回は一匹だったが、複数の時は纏めて行うそうだ。



その後も“森の大蛇“が一匹と“森の大熊“が一頭、“森の大猪“が二頭とかなりの数が現れた。

因みに“森の…“と付けるのは、他から来た個体と分けるためだそうだ。

他から来たって分かるのかと疑問に思えば、明らかに生態が違うのだとか。


そして、この日の討伐は誰一人怪我する事なく終わった。

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