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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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確信犯

「…ところで、クレア様とはどうなの?」

リオンが自身の妻になる方の話をしたので振ってみると、それはもう…嫌そうな顔をする。

女性にその顔はしちゃダメだと注意すると、リリアにしか顔なんか崩さないよ!と返された。

他ではポーカーフェイスでいると断言すると…溜息と共に話し出す。


「もうね…信じられないよ?リリアが居ない時を狙ってるんだと思うんだけど…トイレで出待ちとか勘弁して欲しい。」

トイレで出待ち…それは淑女として、いや人としてダメだと思う。

ラライカさん情報だが、クレア様は上級生のクラスにも突撃したそうだ。

クロード殿下以外は皆様、婚約者がいらっしゃる。

その婚約者に関して色々と言ってきたそうで、不興を買ったらしい。

因みにその一人、ルシアン・ウォーカー様はラライカ様と婚約している。

唯一、婚約者のいないクロード殿下は歯牙にもかけなかったそうだ。



「だからいつも、リリアが待ってるからって断ってるよ。」

私がラライカさんの情報を思い出していると、リオンが恐ろしい事を言い出した。

「…私が待ってる?」

「そう。」

ギギギと首をリオンに向ければ「いい考えでしょ?」と言って微笑むリオン。


「それ…私が妨害してるみたいじゃない?」

なんてこった…リオンの手で私がクレア様を妨害してる風になっている。

それってつまり…。

「私が悪役令嬢って事になってない!?」

それまで小声で話していたが、思わず大きい声が出てしまった。

周囲を起こしてしまったかと不安に思ったが、リオンが既に防音の魔法をかけていたらしい。

辺りは全くと言って良いほどの静寂だ。


「んー…うん!」

少し考える風を装い…あっさり頷くリオン。

この確信犯め!!


「…まぁ、別にいっか。」

そもそも悪役っぽく振る舞ってもいないし、虐めてもいないし。

でも万が一の為に今の内からしっかり裏を取ったり、綻びがないか確認しとくべきだな。

上級生がダメとなるとリオンとか…後はジュード殿下やロマネス殿下にも行くかもしれないし。

ジュード殿下に行った場合はリナリアの事もあるから、しっかり調べておこうと思う。


「え?いいの?」

私の言葉が予想外だったのか、確信犯は聞き返してくる。

それに対してジト目で見返すと、リオンは引き攣ったような笑みを溢した。


「良いか悪いかで言えば…よろしくは無い。だが、既に私が妨害してるように思われているのであれば…対策をするしかないでしょ?」

手を伸ばしリオンの頬を摘むとムニムニと引っ張る。

「ひゃってひかひゃなひゃったんひゃもん!」

引っ張られながら喋るリオンが可笑しくて思わず笑ってしまう。

手を離せば少し痛かったのか頬を摩るリオンは…どこか幼く思えた。


「クレア様は誰を狙うんだろうね?」

「んー…僕じゃないと良いんだけどね。」

互いに「全くだ。」と言いながら笑い合うと…リオンが先程伸ばした私の手を握る。

温かい手は、昔とちっとも変わらないかと思ったけど…私よりもずっと大きくてゴツゴツしていた。

貴公子のような綺麗な手ではなくて、どちらかというと働く人の手に近い。

少し厚みがあって、力強い手を握り返しながら目を瞑った。


「「おやすみなさい。」」

どちらからとも無く呟き、眠りに落ちていった。


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