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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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騎士団長、頭を抱える

「……おい、何故…私の到着を待たなかった。」

騎士団長が訓練場へ到着すると…目の前の信じられない光景に近くにいた部下へと質問した。

近くにいた部下は、フルフルと首を振って否定する。


「あの二人は段級位の取得をする為に訓練場へ案内をするよう頼んだと思うんだが?」

騎士団長の言葉に力なく頷く事しか出来ない部下。

それを見た騎士団長は一度外に出て、慌てて騎士団の事務室に行き声をかける。


「すまない…直ぐに魔法省へポーションをあるだけ依頼してくれ、ついでに魔術師団の治癒魔法が使える奴も頼む。」

再び訓練場へと戻ると、訓練場の中心にいた私とリオンの元へと駆けつけた。


「おい、大丈夫か?」

「あっ、大丈夫です。ポーションと…リオンが治癒魔法が使えますから。」

私の声に安堵する騎士団長のジン様。

足元には…足の踏み場も無いほどに騎士団の団員が転がっている。


「何があったんだ?」

明らかに今日いるメンツが全部やられている…。

俺が来るまでは試験はしないはずだが?

そして…何故、騎士団が誰一人として勝てなかったのだろうか?


「それが…何故か、騎士様方が相手をしてくれるという話になって…どんどん増えてしまいまして。」

「一応…止めませんか?と聞いてみたのですが、何故か多数対2人の対決へと変わってしまいまして。」

そんなつもりは無いんです…と、困り顔の私とリオンに頭を抱えてしまったジン様。

とりあえず私は手持ちのポーションを一人ずつ飲ませ、リオンは端から治癒魔法をかけていく。

治癒魔法は光属性で、私にも少しはあるのだが…リオンは適性があっているのか得意としている。

…基本的にリオンに苦手な魔法があるかは知らないけども。


「すまない、使用したポーションは後で返す。」

ジン様が申し訳なさそうに言うので、私は首を左右に振った。

「こちらは未熟な私が練習の為に大量に作った物なので…ですが、鑑定済みで安全性は保証済みですから安心して下さい。」

私の言葉にジン様は苦笑いで「助かる、ありがとう。」と言った。

ポーションは貴重品なので、気にしたのだろう。

だが、私も練習で大量に作ってしまったので…消費できて助かるのだ。


全員が回復した頃、魔法省からポーションと魔術師団長が率いる治癒魔法師達が駆けつけた。


「何があった?」

魔術師団長のビルショート様が怪訝な顔で、私とリオン…そしてジン様に問いかける。


「あー…すまない。二人が段級位を取得するのに騎士団の団員が…その…やられただけだ。」

「何故、二人の段級位をただの団員に任せた?」

「執務を終えてから俺が試験する予定だったんだが…既に全滅だった。」

「全滅…。」

騎士団長と魔術師団長が私達の方へと顔を向ける。

頼むから魔物を見る目で私達を見るのは止めて欲しい。


「団長!すみませんっ!!!」

私達を案内してくれて、最初に挑んできた赤髪の青年がジン様へと謝罪した。

そもそも…彼が挑んで来なければ、このような事態にはなっていない。

彼らはどうやら遊びのつもりで揶揄って…私達が調子付かないようにしようと思ったようだ。

そしたら、まさかの返り討ちに遭ってしまった…といった感じだろうか?


「私が到着するまで、何故待てなかった?」

「いや、団長の手を煩わせるなど…。」

「煩わせるどころの話では無くなったではないか!」

「す…すみません…。」


そんな騎士団長達の遣り取りを遠目に見つつ、そういえば副団長っていないのかな?と疑問に思う。

こういう時、副団長が仲裁するものだよね?


「騎士団の副団長は、今は遠征中でいませんよ?」

私が周囲を見渡していると、魔術師団長のビルショート様が声をかけてきた。

どうやら、騎士団長と副団長は交互に遠征して王城と国を常に守っているらしい。


「まさか、先に騎士団へ来てるとは…待っていたのですがね。」

「…すみません、騎士団を終えたら魔法省へ行くつもりでした。」

魔術師団長は笑顔なのに、非常に怖い。


「早くて…一ヶ月後か…待ち遠しいな。」

少し寂しそうにするので申し訳なく思う。

一つの職業場へは最低でも一ヶ月は居なくてはならないのだ。


「段級位はどこまでを目指すのかな?」

「「師範代です。」」

私とリオンの言葉に目の前の魔術師団長ではなく、周囲の騎士団員達が驚いた顔をする。

魔術師団長は笑顔で数回頷くだけだった。


「まぁ、そうだろうね。アレス君もそうだったしね…彼も今は魔法省の魔法薬の方へ行っちゃったんだけどね。」

「マリア様のお手伝いをしているそうですね。」

そんな会話をしていれば、再び周りが騒つく。

アレスも一年生の時に騎士団へ来て、段級位を取得している。

騎士団員も知らないという事はない。



「…待たせたな、どうする?今日…試験は受けるのか?」

他の団員達を叱り、私達の元へと来た騎士団長は頬を指で掻きながら段級位の試験の事を聞いてきた。

勿論…そのつもりで来いるので笑顔でお願いする。


「君達に負けると他の団員達に示しが付かないからな…本気でやらせてもらう。」

「「ありがとうございます。」」

騎士団長の本気か…楽しみだな。

私とリオンが一礼すると、騎士団長が苦笑した。


「そこは…引くとかするだろ?なんで笑顔で嬉しそうなんだ?」

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

最近、リリアさんが美味しいご飯を作ってないな…と思ったらリリアの話が少なかった事に気付きました。

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