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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第3章 私リリア!運命が動き出したの。
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新たなヒロイン現る!

それはとても愛らしい声だった。

思わず振り返れば、そこには艶やかなキャラメル色の巻髪に同色の瞳の令嬢が…くねくねしていた。

あっ…くねくねってそう言うことか!

…科を作っていたのね。

それをくねくね…リオンさんや、令嬢にその表現はダメでしょ?


令嬢に呼ばれたリオンを見れば、リオンが少し困った顔で私を見る。

私はグッと親指を立てて、笑顔を返してみた。


「…行ってくるよ。」

リオンは仕方ないと教室の入り口に向かった。


「リオン・クリスティア様!お会いしたかったです!!私は、クレア・ポンシュワールです。」

そう言って手を差し出すくねくね…ではなく、クレア様。

「…ああ、初めまして…だよね?」

リオンは疑問符を浮かべながら令嬢を見る。

令嬢の手は宙に浮いたままだ。


「はい、私…初等部も中等部も出ていなくて…高等部に入れたのも本当の父が私を見つけてくれたからなのです。」

そう言って切なそうに笑うクレア様…だが、そのあざとい笑みはリオンには通じない。

…多分だけど。


ポンシュワール伯爵家か…確か、奥方が子をなす事が出来なかったとお母様から聞いている。

“本当の父“…つまり伯爵様が他所で作った子なのだろうか?


…これ、よくあるパターンじゃない!?

貧しい庶民として暮らしていたヒロインは、成人前に突然…自身の父と名乗る男の娘になるやつ。

多いのが男爵家パターンかな?と思うんだけど。

伯爵家パターンも無くは無いかな?


それに庶民とは思えない美貌…あるな。

これはまさかの“新・ヒロイン“なのではないか?



『ちょっと!観察してないで、助けてくれない?』

リオンが令嬢と対峙しながら、私にテレパシーで助けを求めてくる。

こんな事は今まで無かったな。


『どうすればいい?』

助けを求められたからと言っても、どうやって助けたら良いのか悩む。

するとリオンは、僕を呼んで!と言ってきた。


「リオン?」

そのままにリオンを呼べば、リオンはクレア様に向かってニッコリ笑うと「呼ばれているから。」と言ってクレア様から離れ…ようとしたが、何故か服の裾をクレア様に掴まれた。


「「「「「きゃーーーー!!!」」」」」

その様子を見ていた教室中の令嬢が悲鳴を上げる。

淑女は殿方の服を勝手に引っ張ったりしないからね。

それと…あんまり大きな悲鳴も上げたりはしないと思うよ?


「あの!お待ち下さい。私と…話しているではございませんか?」

クレア様は潤い多めな上目遣いでリオンを見つめる。

だが、それもリオンには通じない。

…多分だけど。


「…話?」

そもそもよく知りもしない令嬢に突然声をかけられ、名乗られ…掴まれるなど普通は考えられない。

学園では皆が平等だが、それでも高等部まで来る令息や令嬢は分を弁えている。

そして婚約者持ちも多いから、あまり異性とは話さないのだ。


「そうです、私ともっとお話しませんか?午後は空いてますでしょ?」

グイグイと引っ張るクレア様にリオンは首を振って否定する。


「午後はリリアと騎士団へ行くから空いてはいないよ?」

「…騎士団?なんのために行くんですの?」

リオンが掴まれていた服からクレア様をソッと離すと、クレア様が不思議そうにコテンと首を傾げる。

…入学式のオリエンテーションで高等部の説明を聞いてなかったのだろうか?


「段級位の取得のためだよ。」

「だんきゅーい?」

リオンが再び助けを求めるように私を見るが…私は左右へと首を振った。

…そこから説明とか、時間が間に合わなくなるし。


「リオン、騎士団に間に合わなくなるわよ?初日から遅刻とか心証が悪くなるじゃない。」

仕方なしに声をかけながら近づくと、リオンに見えない角度でクレア様に睨まれる。

睨まれたところで、痛くも痒くもないから無視しておく。


「はい、荷物。」

「ありがとう、リリア。では、騎士団に行くので失礼するよ…クレア嬢。」

そう言ってリオンは荷物を受け取り、私の手を取った。

クレア様の前で態とエスコートですか…。


まぁ…睨まれても、痛くも痒くも無いから良いんだけどね。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。


最後…大切な事なので二回も言っちゃいましたね。

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