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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
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幕間 リナリア・クリスティア①

リナリア視点の今までの話です。

ーーーーーあの日、お姉ちゃんは私にどんな魔法をかけたの?



リナリア・クリスティア

私は高位貴族の中でも最も高い位のクリスティア公爵家の次女。

次女と言っても兄が二人と姉が一人いるので…末っ子だ。

末っ子って聞くと、それはもう家族に可愛がられて育ったのだろうと思うかもしれないけど…。

もうすぐ6歳になるあの日まで…私にそんな記憶は存在しない。


リオンお兄ちゃんとリリアお姉ちゃんは…彼らの7歳の誕生日を迎える数日前に会ったのが私の中で一番古い記憶だ。

初めて見たリリアお姉ちゃんに私は見惚れてしまったのを覚えている。

リオンお兄ちゃんとリリアお姉ちゃんはそっくりで、とても可愛かった。

物語に出てくるお姫様を連想させるその容姿に…私は幼いながらに嫉妬したんだと思う。


双子の兄姉の誕生日パーティーでジュード殿下を初めて見た時…ジュード殿下が本当に物語から飛び出した王子様に見えた。

リリアお姉ちゃんがお姫様みたいに見えていた私は、慌ててジュード殿下に声をかけたの。

リリアお姉ちゃんに取られちゃうって思ったから…。

そしたらジュード殿下も私を選んでくれて、とんとん拍子に婚約が決まったの。



その頃…私に付いていた侍女が辞めて、直ぐに新しい侍女が私の面倒を見てくれるようになった。

初めてサリーに注意された時は凄く怖くて、慣れるまでは怯えていた。

だけど…サリーは厳しいだけじゃなかった。


お父様は仕事が忙しくて、お母様もよくお茶会に行っていたし…リーマスお兄様は学園に通っていたから…。

私にとって家族は居るんだか居ないんだかよく分からない存在だった。

今思えば、寂しかったんだと思う。

そんな私の気持ちを一番に分かってくれたのがサリーだった。

サリーとケリーだけはいつだって私の傍に居てくれた。

厳しいけどお勉強を頑張ったら褒めてくれたし、私の話もよく聞いてくれた。

間違っている事は否定してくれて…良い事は賛同してくれた。

私にとってお母さんとお姉ちゃんみたいな存在だった。



双子の兄姉が学園に入学すると聞き、リーマスお兄様が毎日のように双子の兄姉の話をしていた時期があった。

目の前に妹がいるのに、私になんてずっと見向きもしなかったリーマスお兄様に…私は複雑な気分だった。


その日はサリーの体調があまり良くなくて…リーマスお兄様の部屋を少し覗くつもりで私はサリーから離れた。

リーマスお兄様の部屋の鍵は執事のスティーブが持っていたんだけど、それをコッソリ持ち出して…私はリーマスお兄様の部屋に入った。


よく分からない物がテーブルの真ん中に置かれていて、それが双子の兄姉のために作られた物だというのは知っていた。

リーマスお兄様がずっと自慢していたから…。

私が居るのに…私なんか目に入らないみたいで悔しかった。


テーブルからそれを持ち上げると、思っていたよりも重くて思わず落としてしまった…。

それを聞きつけたリーマスお兄様が凄い形相で私に怒鳴るから、怖くて…辛くて…口の中が苦い物でいっぱいになった。

その場を逃げるように走り去ると、私は自分のベッドに身を隠し…その日はずっと泣いていた。

後で…リオンお兄ちゃんとリリアお姉ちゃんの魔法によって元に戻ったと聞いた時には心底ホッとした。

それと同時に優秀なリオンお兄ちゃんとリリアお姉ちゃんに嫉妬した。



私の事を一番に分かってくれていたサリーは、私がお兄様の部屋に忍び込んだあの日に腰を痛めてしまったらしく…領地へと帰ってしまう事になった。

今までずっと一緒に居てくれたサリーに感謝の気持ちを伝えたくて馬車へと向かう前に「ありがとう。」と言うと、サリーは嬉しそうに微笑んでギュッと抱きしめてくれた…。

こんな風に抱きしめてくれる人も…私には居なかったんだなってその時に感じたのを覚えてる。


お見送りの為に馬車の前に来ると、遠くから王家の馬車が見えた。

その頃のジュード殿下は、会うとずっとリリアお姉ちゃんの事ばかり聞いてきて嫌だった。

リリアお姉ちゃんが目の前にいる事に気づいて、このままだとリリアお姉ちゃんにジュード殿下を取られてしまうと思った私は慌てて後続の馬車へと走った。

走り出して直ぐにリリアお姉ちゃんにぶつかったけど、そんな事よりもジュード殿下にリリアお姉ちゃんが見つかるのが嫌だった私は無視して馬車へと向かった。

だけど…その馬車にはジュード殿下は乗っては居なかった。


私がホッとしていると、背後から凄い勢いでリーマスお兄様に腕を掴まれ…私はリリアお姉ちゃんの前へと連れて行かれてしまった。

確かにぶつかった私が悪いけど…ジュード殿下を夢中にさせるリリアお姉ちゃんに謝るのが嫌だった。

家族から…お兄ちゃん達から大事にされてるリリアお姉ちゃんが嫌いだった。

なんでも出来るし、皆んなからも褒められるリリアお姉ちゃんが…羨ましかった。

いつも比べられるんじゃ無いかって怖くて…リリアお姉ちゃんが憎かった。


私の中にはこんなにも真っ黒で嫌な気持ちが充満してるのに…。

リリアお姉ちゃんは真っ白で綺麗な心を持ってるんじゃ無いかって思えて…再び私は逃げ出した。

私を大切に育ててくれたサリーとのお別れの途中だったのに…。


ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

長くなりそうなので、今日はここまでです。

冒頭が回収出来ずにすみません。

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