ハンバーグを食べるのです!
「お待たせしました、こちらがハンバーグです!」
ダイニングには既に祖父母とリオンが席についていた。
リオンよりも祖父母の方がハンバーグを楽しみにしていたのか、ソワソワした様子だ。
「ぜひ、温かいうちに召し上がってください。」
ふっくらと焼き上がったハンバーグにナイフを入れると、中からは肉汁が溢れた。
トマトソースと絡め、少し大きめの一口サイズを頬張ると口の中にお肉の味が広がる。
酸味の効いたトマトソースはしつこくなく、食欲を誘うようにどんどんと食べてしまう。
「ふわふわで口の中で蕩けるように柔らかいのに、お肉の味がしっかり分かるね。とても美味しい…」
リオンは両手で頬っぺたを包み微笑んだ
なんとも可愛いポーズで、思わずキュンとなる。
「ふむ。これは美味いな!あっという間に食べ終わってしまう。
付け合わせのジャガイモもカリッとしていて良い食感だ」
お祖父様を見ると、既にお皿は綺麗に食べ終わろうとしていた。
「トマトソースの酸味でしつこくなくて、私でもペロッと食べられちゃうわね」
トマトソースを上手に絡めお皿に何も残すまいと食べるお祖母様。
皆がとても美味しそうにしてくれて私も嬉しくなった。
作って良かったと笑んで、私も食べ終わる。
人のために料理をするのは久しぶりだ
一人暮らしで料理はできたし、食べるからには美味しくをモットーに生きていた。
ハンバーグも何度も作って、理想のハンバーグを探求していたのだ。
「とても美味かった。」
祖父母もリオンも私の方を向き、満足そうに微笑む
そして、お祖父様は難しい顔をする
「リリアよ。“前世の記憶“に関しては、お前の両親や兄妹には言わない方が良いかもしれん。」
「え…?」
家族に秘密にした方がいいと言われ驚いていると、お祖父様が話を続けた
「お前の父、リュークは宰相の職に就いておる。
陛下にバレれば利用しようとするであろう…そうなれば従うしかないのだ」
父である前に、国に仕える立場を優先する。
家族であっても陛下には逆らえないのだと…
「セバスは居るか?邸の全ての者にリリアの事を他言しないよう箝口令を敷け!」
お祖父様は近くに控えていた執事のセバスチャンに口止めをすると私の耳元で囁くように話す
「この邸では自由にしなさい。そして、また何か作っておくれ?」
緊迫した空気を霧散するようにお祖父様は悪戯っぽく笑うと、頭をポンポンしてくれた
それが何だか嬉しくて、笑っていると…
何故かお祖母様もリオンも頭をポンポンしてくれる。
すごく大事にされてる気がして私は「大好き」と抱き着いてしまった。