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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
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幕間 アンクレット作り

アレス視点です。

第二章の完結前のお話です。

月に一度を目安に僕はアリア様のお姉様のマリア様のところに顔を出している。

いや、正しく言えば…手伝っている。


マリア・ペチェリーヌ伯爵は魔法省の魔法薬研究所の所長を務めている。

昼夜問わず魔法省に入り浸っているので、今日も伺うのは魔法省のマリア様の研究室だ。

いつものように研究室へと顔を出すと、マリア様は嬉しそうに手を振って招き入れてくれる。


「よく来た!待ってたよ。」

マリア様はアリア様よりも少しキリッとした見た目で、性格もサッパリとしており男性よりも男性らしい感じの方だ。

僕の事は何故か最初から歓迎モードで受け入れて貰えた。


「今回は二週間と長い滞在になってしまってすみません。大丈夫でしょうか?」

領地の本邸に貴族の子息方が合宿に来るので、僕はその間はマリア様のところに行っていたらどうかと祖父母に提案された。

リリアやリオンに危害を加えようとした貴族の子息もいるらしく、僕が居ると揉めてしまいそうだったからでもある。

祖父母の言う通り邸に残っていたら、きっと僕は彼らと揉めていたと思う。


「むしろ、助かるよ。早速だが手伝ってもらっていいか?」

マリア様は他の研究員達に声をかけ、僕の席を用意すると…指示書を渡された。

今回は長期と言う事もあって、結構な量だ。


因みに、このお手伝いには報酬も勿論ある。

いつも手伝う度に、その対価となる報酬を貰っているのでリリアへのプレゼントを買うには十分に足りているが…。

僕はリリアに何を渡そうかと思ってずっと悩み続けていた。

リリアには肌身離さず…ずっと身に付けていて欲しいと思うが…何が良いのか迷っている。


作業の合間の休憩時に、マリア様ならどんな物が嬉しいかを聞いてみると…。

「ん?私か?…そうだな、手や首や耳なんかは何か身に付けていると落ち着かないし邪魔になる。

だからと言って指だと魔法を使った時に干渉されると困るし…足とかどうだ?」

マリア様は唸りながらも応えてくれる。

他の方々も手を動かしながら、マリア様の答えに頷いていた。


「足…ですか?」

「そうだ、アンクレットとか良いんじゃないか?肌身離さず付けていられると思うぞ?」

確かに…アンクレットであれば、人目も気にせず…学園にも付けて行けるかもしれないな。

マリア様の言葉に頷いていると、マリア様がゴソゴソと箱を漁り出す。

更に小さな魔法石が入った箱を取り出した。


「どうせなら作っていけば良い!アレスの作業スピードなら期日よりも早く仕事が終わるし…私の方もアレスのおかげで早めに終わりそうだから、やり方を教える事も出来るしな。」

そう言って必要になる材料を大きめのトレーに入れていくので慌てて止める。


「待って下さい!これは魔法省の在庫ですよね?」

魔法省の在庫を勝手に使ってしまえば横領になってしまうではないか!?

僕が慌てていると、マリア様は苦笑する。


「大丈夫だ、この分は今回のアレスの報酬から差し引くから安心しろ。」

そう言って再び必要になる材料をトレーに入れるマリア様。

…報酬で足りるのだろうか?



それから十日が経ち、僕もマリア様も手が空いたのでアンクレット作りを始める事になった。

魔道具のアクセサリーを作るのは久しぶりだな…とマリア様は嬉しそうに準備する。

魔法薬ばかりだと思っていたが、マリア様は魔道具も作るのか…。


「リリアは、アレスの番なんだろ?」

アンクレットのチェーン部分と石の土台を連結していると、突然マリア様が質問して来た。

僕が作業しながらも「はい。」と返事をすると…何故かマリア様は少し寂しそうな顔になる。


「大切にしろよ?番って言うのは…唯一の存在だからな。」

そう言って僕の頭をクシャッと撫でた。

今にも泣き出しそうな切ない顔のマリア様に僕も不安な顔をしてしまっていたらしい。


「私にも居たんだよ…番と呼べる相手がな。」

「……え?」

マリア様の言葉に手が止まり…思わずマリア様を見ると切ない顔のまま微笑み、マリア様はご自身の話をしてくれた。


「私がまだ若かった頃に出会った獣人でな…彼と結婚の約束もしていた。

彼は獣王国で騎士をしていたんだが、魔物の討伐に失敗してな…若くして亡くなってしまった。」

マリア様は自身の作業机から小さな箱を取り出して僕に見せる。

中には二つのアンクレットが収まっていた。


「番というのは厄介だな…他にも沢山の異性がいると言うのに、彼以外は全く興味が持てなくてな。」

大切そうに箱の蓋を閉め、その箱を見つめながらマリア様は苦笑し…顔を上げた。


「アレス…お前自身も、そしてリリアの事も大切にするんだぞ!それだけは約束してくれ。」

マリア様のキリッとした瞳が僕を射抜くように見つめてくる。

僕も真剣な顔で一つ頷いた。


「約束します!リリアも…そして僕自身も大切にします。」

僕が宣言するとマリア様は嬉しそうに笑って頷いた。


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