秘密を打ち明けて
「いいわよ。」
お祖母様は何も聞かずに防音の魔法をかけてくれた
「お祖父様、お祖母様、話しておきたい事があります。
ですが話を聞いた上で、決して私の頭がおかしくなったと思わないで下さい。」
祖父母の顔を見ると二人は柔らかく笑って頷いてくれた
深呼吸をして心を落ち着かせると、前世の記憶が戻った事を話した。
◇◇◇◇◇
「うむ。リリアには今の生を受ける前の記憶があるという事だな?」
お祖父様は何やら考え込むようにして腕を組んだ。
「前に生きた世界はこことは随分に違うのね。」
お祖母様は対照的に面白がっている感がある。
昼食を取った際にリオンに今回のことを相談したが、リオンは話すべきだと言ってくれた。
この領地で育ててくれている祖父母は両親よりも信頼がおける
そして話をちゃんと聞いてくれると思ったからだ。
案の定、否定もせず最後まで話を聞いてくれたのは嬉しかったし
頭おかしい子と思わないでくれて助かった。
お祖父様は何かを納得したかのように頷くと私に話し始めた、
「リリアよ、何かの文献で“前世の記憶“を持って生まれた者がいたというのを見た事がある。
しかし、この事はリリアのためにも他に漏らさない方が良いかと思う。
他者に利用される事もあるやもしれぬからな。」
お祖父様の言葉を聞き、お祖母様も同意し頷く。
「はい。悩みましたが、一緒に暮らすお祖父様とお祖母様とリオンにだけは知って欲しかったでのです。
他者に漏らすつもりもございません。
私の知識で役立つ事もあるかと思いますので、お祖父様たちに話す事で他者を誤魔化す事もできるかと思ったのです。」
この世界にない知識を持つ事で怪しまれる事もある。
それを上手く誤魔化すためにも話したのだ。
「うむ、リリアは中々に聡明だな。」
お祖父様は嬉しそうに私の頭を撫でた。
「そして、今回話したのは他でもありません。ハンバーグを作りたいのです!」
頭を撫でられながら、秘密を打ち明ける羽目になったハンバーグ作りの話をしなくてはならない。
6歳児に厨房に入る許可と、料理をする許可を与えて貰いたいのだ。
「ハンバーグ…とは、市場で買った物と関係があるのかしら?」
お祖母様は嬉しそうに私の顔を覗き込む。
「そうなのです!昼食を取った際にリオンと話して説明するよりも作った方が早いと思ったのです!」
そう言ってリオンを見ると嬉しそうに頷いた。
「まあ!それは楽しみね。もちろん、私たちにも作ってくれるのでしょう?」
「もちろんです!」
お祖父様もお祖母様も嬉しそうに微笑む。
どこか緊張していた体の力が抜け背もたれに体を預ける
もう、すぐ目の前には邸が見えてきた。
帰ったらすぐにハンバーグを作ろう!