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2.冒険の準備

2話目は会話多めになってます。

自分の成長特性が一番期待していなかった超晩成型で落ち込むライルー。

『水晶玉の結果に落ち込む事はありませんよ。根気良く経験値を積んでいけば、一番長く冒険家稼業を続ける事も出来るのですから』

「そ、そうですよね…ありがとうございます」

『そういえば私の名前をお伝えしていませんでしたね…このギルドの職員のメアリーと申します。これからの事で分からない事があれば、遠慮なく声を掛けてくださいね』

「分かりました。これからよろしくお願いします!今日は一度家に戻って、支度を済ませてからまた明日来ようと思います」

『確かに準備はしっかりとした方がいいと思います。では明日いらした時にでもランクやクエストについてご説明致しますね』

メアリーとの会話を終えたライルはギルドを出て、母の待つ家に戻る事にした。


ギルドでの水晶玉の結果を母に伝えたら、どんな反応を示すだろうか?元々ライルの母であるグレタは我が子が冒険者になる事を良く思っていなかった。グレタの夫、つまりライルの父親も冒険者だったのだが、10年前に同じパーティーの仲間を守って帰らぬ人となってしまったからだ。息子の身を案じる母の気持ちは痛いほど伝わってきたが、父のような冒険者になりたいとライルは母を説得し冒険者になることを渋々ながら納得してもらったのだ。

「母さんに結果を伝えたら…また冒険者になるのを止められるかもなあ」


不安を抱きながら自宅に辿り着くと、既に母が椅子に座って待っていた。

「ただいま、母さん」

『おかえり、ライル。それで貴方の成長タイプは何型だったの?』

「うん…万能型で、超晩成型だったよ」

『…そう、だったの。それでも貴方は冒険者になるという覚悟は変わらないのね?』

「変わらないよ。父さんのような立派な冒険者になるという夢は捨てられない」

息子の固い決意の表情を見て、これ以上は無駄だと諦めるグレタ。

『わかったわ。でも一つだけ約束してー。決して無理はしないで、何があっても命を大切にすること。いいわね?』

「約束するよ。僕は必ずここに帰ってくる」

『いい子ね…。ライル、実はお父さんが昔使っていた武器や防具が残っているの。初級者向けの物を家に置いていったそうだから、強力なものではないと思うけど…使ってあげて』

「これが父さんが昔使っていた装備なんだ…ありがとう、大事にするよ」

母に手渡された長剣と鎧を身につけてみる。ちょうど今の自分にピッタリのサイズだった。

『それから少ないけどお金よ。旅の支度に使いなさい』

「母さん…ありがたく使わせてもらうよ。早く冒険者として一人前になって、母さんが楽な暮らしが出来るように頑張るからね」

『気持ちは嬉しいけど、無理は禁物よ。まずは着実に自分の力を付ける事だけを考えなさい』


最初は反対していたけれど、自分のために準備をしてくれた母に感謝の念が絶えない。母の約束を守る事を第一に考えながらも、少しでも母の生活が楽にしてあげたいー。だからこそ成長タイプが早熟型であって欲しかったのだが、それはもう考えてもどうにもならない。気持ちを切り替えて冒険の準備を整えよう!


まずは道具屋に向かい、母からもらったお金で薬草を幾つか購入した。続けて武器屋に向かい、父の形見である長剣を研いでもらった。長い間使っていなかったせいか剣先が錆び付いていたのだが、流石は本職。切れ味鋭い剣に仕上げてくれた。これでひとまず準備は終わった。


家に帰ると既に夕食の用意をして母が待っていた。食事をしながら母にある事を伝えられるのだった。

『この街の冒険者でウオードさんっていう方がいるの。昔お父さんと一緒にパーティーを組んでいた人で、お父さんに世話になったからって何かと良くしてくれたの。もしギルドで会う事があればきっと力になってくれる筈だから話してみなさい』

「そんな人がいるんだ…わかったよ、もし見つけたら話してみる」

夕食を終えたライルは、自分の部屋で形見の長剣を振ってみた。重みはあるが手にしっくりくる。これから毎日鍛錬して少しずつでも扱えるようになっていこう。30分ほどの素振りを終え、程良い疲労感の中ベッドに横たわる。明日からの冒険者生活に不安と期待を膨らませながら、眠りに落ちるのだった。

次話からライルの冒険がいよいよ始まる!

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