1.冒険者登録
初投稿です。表現の至らない点などあるかもしれませんが、生暖かく見守っていただければと思います。
これはとある異世界の物語ーーー
一人の少年が苦しみながらも成長し、やがては世界を救うお話。
冒険者の集う町グランドール。
住人の多くは冒険者として魔物を倒したり、依頼のあったクエストを受けて生計を立てている。この町に住むライル・クロフォードも冒険者に憧れ、名を馳せるのを夢見る少年の一人だった。
今日はライルの15歳の誕生日。
この国では15歳を迎えると冒険者としてギルドに登録することが出来る。ライルにとって待ちに待った冒険者デビューの日である。前日の夜は興奮でなかなか寝付けず、寝不足で当日を迎える事になってしまったのは無理もないだろう。
「それじゃあ母さん、冒険者ギルドに行ってきます!」
『いってらっしゃい、ライル。幸運の女神の加護があらんことをー』
母に見送られながら冒険者ギルドに向かうライルだったが、その内心は期待と不安の両方が混ざった心境だった。その理由は冒険者登録をする際に判明する、冒険者の成長特性についてであった。この世界の冒険者の成長特性は大きく二つに分けられる。
①成長スピード
:超早熟型・早熟型・中堅型・晩成型・超晩成型
②スキル特性
:物理型・魔法型・万能型
この2つの内、特に成長スピードのタイプは冒険者人生に大きく関わる重要なものなのだ。例えば超早熟型や早熟型はレベルが上がるのが早く、冒険者として独り立ち出来るのも早い。その代わりにある一定以上のレベルを超えると成長が緩やかになり、それ以上の戦力向上が望めなくなってしまう。反面、晩成型や超晩成型はレベルが高くなっても成長が止まらず、鍛えれば最強の戦力に育つ。特にこの国では遥か昔、魔王を倒した英雄2人が超晩成型だった事もあり大器晩成型とも言われる…しかし、晩成型は圧倒的にレベルが上がるのが遅いのだ。超早熟型と比べると超晩成型のレベルが上がるには約30倍の経験値が必要と言われている。
本来であれば成長に時間がかかろうとも英雄を目指すなら超晩成型が人気になってもおかしくないのだが…この時代魔物は出るものの、比較的平和な世の中のためそこまで強い魔物が出る事も多くなかった。そのため現在は超早熟型・早熟型・中堅型〜の順番に当たりの成長タイプとして扱われている。もしも超晩成型を引いてしまった場合には、冒険者を諦めて商人になったりする者の方が多いくらい不遇な扱いをされている。
ライルも超早熟型とは言わなくとも、早熟型か中堅型くらいまでである事を希望していた。そんな願いを抱きながら歩いている内にグランドールの冒険者ギルドに辿り着いた。ライルは緊張しながらギルド内に入り、ギルドの窓口にいる女性に声を掛けた。
「あの…すみません。冒険者登録しにきたんですけど」
『承ります。それではこちらの用紙に名前・年齢・性別を記入してください…はい、問題ないですね。それでは場所を移して、ライルさんの成長特性を調べてみましょう』
「はい、よろしくお願いします」
女性職員について向かった部屋の中には一つの水晶玉が置かれていた。
『それではこの水晶玉に手を当ててください。30秒程待っていれば貴方の成長特性が浮かび上がります』
「分かりました」
スッと水晶玉に手を伸ばし、時間が経過するのを静かに待つ。やがて水晶玉に文字が浮かび上がる。
「こ、これは…」
『万能型で…超晩成型ですね。それではギルドカードに情報を転記してお渡しします』
一番期待していなかった結果にライルはガックリと肩を落とす。将来は英雄と謳われる少年の前途多難な冒険者生活がこれから始まるのであったー。
超晩成型と知ったライルの今後に期待!