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呪いの鎖

…………なんだこりゃ。



鎖で縛られた俺が俺を見つめてくる。



「えっ………と、君はいつからそうなの?」



俺はひとまず会話を試みることにした。

話せるのかは分からないけど。

真っ白な部屋にゴツゴツした鎖で縛られうずくまる俺をじっと見つめる。



「俺たちが召喚されたときから。」



……喋った!

縛られている俺が再び口を開く。



「俺は、俺の心だ。俺の一番深い部分だ。」

「その鎖は?」

「俺たちが召喚されたときに付けられた。俺が王国に逆らおうとする度にすごく熱くなってすごく痛い。」



確かに彼の体には、鎖に沿うように痛々しい火傷の痕がある。



「ずっとそのままなの?」

「ううん、1回だけ、自由になった。」

「ふうん…」



よく分からん。

まあ、いいや。今はこいつを解放するのが先だ。



鎖を断ち切る斧をイメージする。

もともとここは俺の想像の中の世界だから、簡単にイメージを具現化できる。



俺は右手に現れた斧を振り上げた。



「今解放してやるからなああぁぁぁぁああ!」

「あ、ちょ、だめぇーーーーーッ!」



思いっきり斧を鎖に叩きつけようとしたとき、鎖が真っ赤に光り輝き、



「ぐうっ?!……がアッ……ハっ」



久しぶりに感じる激痛を頭に覚え、



「おい、大丈夫か?」



現実世界に戻って来ていた。



「ほら、これ」

「んぐ……」



おっさんが差し出してくれた水をあおる。「…………で、何があったんだ?」

「ああ、僕の中の深いところに潜ってみたんですよ。そしたらそこで、ーーーー」



…………………………



「へえ、鎖で縛られたお前、ねえ」

「おそらく鎖すらも国王の所有物扱いだったんでしょうね……」

「でもよ、お前、さっきまで容赦なくラザニマの兵士巻き込んでたよな?」

「あの時は心が死んでいましたから」

「今は違うのか?」

「……多分」



つまり、敵意をなくし、全く心を動かさずにあの鎖を断ち切る方法を考えなくてはならない。

そんなこと、できるだろうか……。



「これからどうするよ?」



おっさんが聞いてきた。



「兵士達に見つかったりしなければ呪いも発動しないと思いますけど」

「ていうか奴隷だってばれなければ大丈夫何じゃないか?」



確かにばれなければ、俺たちが困るような命令はしてこないだろう。



「ひとまず街へ行きたいが……」

「まだ俺たち、この世界の右も左も分かりませんからね……」

「あの城の近くにはいたくねえからな、この森を反対側から抜けようぜ」



俺もおっさんに賛成だ。王城の近くにいると、俺たちが奴隷だとばれやすそうだ。

でも……異世界の森って危険と隣り合わせな気がする。強力な魔物とか、方向感覚を狂わせる霧とか。



「そこはホラ、一騎当千のナミト様が……」

「うーん……」



魔物の方は大丈夫そうだけど、霧とかそういうトラップはどうしようもない気がする。



そうだな……



「よし、やっぱり魔法を教えますよ」

「え?」



まともに戦えるのが俺だけだと不安だし、あの魔法を使えばらくらく森を抜けられる。



そうして俺は、おっさんに魔法を教えながら森を抜ける事になった。

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