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合同クエスト

本日二話目~。

「な、ナミトさんが7250、コウスケさんは6820でしゅ」



 受付嬢が呆けた顔で言った。……噛んだな。



 いつのまにか俺たちの周りには見物の人垣が出来ている。どちらの方が先に撃ち終わるか賭けをしていた奴もいたようで、頭を抱えてたり、拳を突き上げていたりする人影も見える。



「す、すごいです!お2人とも私の100倍をゆうに超えてます!」



 ラフが空中で小躍りする。

 俺たちが多いのかラフが少ないのか……俺たちが多いんだろうな。



「魔力量は使っているうちに増えていきますので、使い魔さんもいつか100を超えますよー。この人たちは……私にはよく分かりません」



 受付嬢の話によると、ベテラン冒険者の魔力量がだいたい300〜400ぐらい。俺たちはチートもいいところだな。



「あー、まあ、魔力量はあくまで目安ですから。あまり過信しすぎないでくださいね?」

「分かった」



 宿に着いて、俺は大きく溜息をついた。

 国家転覆を企む身として、あまり目立ちたくなかった。



「あんなに魔力量が多いなんてな。異世界人の特徴か?」



 多分、違う。……心当たりなら、ある 。まあ、過ぎてしまったことはしょうがない。次からはもっと慎重に動こう。





 翌日の昼、俺たちは再びギルドへ来た。

 昨日、Eランクに格上げされたのでDランクのクエストまで受けれるはずだ。



「やあ、昨日は凄かったらしいじゃないか」



 Dランクのクエストを探していると、後ろから声をかけられた。レミストだ。



「大したことじゃないですよ。魔力量が多くても使いこなせなくちゃ意味がないですし」



 一応謙遜しておく。言葉とは裏腹に、俺はこの世界に住む大半の人より上手く魔法を扱っている自身がある。



「確かEランクに昇格したんだっけ?僕たちのパーティーに来ないかい?アークブルの討伐に行くんだ」



 そう言ってレミストが貼り紙を見せてくる。



【アークブルの討伐】


 北の森でアークブルが確認された。縄張りから出る様子はないが念の為討伐をして欲しい。


 依頼金 20万R

 違約金 10万R



 念の為で殺される魔物。可哀想に……。

 アークブル。赤い牛型の魔物だ。こちらから攻撃しない限りおとなしい魔物だが、怒ると怖い。らしい。



「いいぜー」

「いいですよ」



 勝手に決めるな。ま、俺も参加するつもりだったが。他の冒険者の戦い方を見るのもいい経験だと思うしな。

 ……レミストはあまり信用したくないけどな。



「報酬はどうするんです?山分けですか?」

「うん。僕らは4分の1取ってくから残りを君たちで分けるといいよ」

「……気前がいいんですね?」

「まあ、初めて一緒にクエストをする記念だよ。まあ、流石に違約金が発生したら割り勘にさせて貰うけどね」



 2パーティーで割り勘……俺らは5万払えばいい、という事だな。



「じゃあ、僕のパーティーメンバーを紹介するよ」



 レミストについて2階にのぼる。

 ギルドの2階は酒場になっていて冒険者の憩いの場となっている。

 レミストが手を振り、それに返す女性が2人いる。



「こちら、僕のパーティーメンバーで主に弓を使っている、アミルだ」



 金髪の美人が俺にほほ笑みかける。

 服の機能性とは全く関係ないであろう場所に穴が空いている。つまり、余計な露出が多い。

 ファッションセンスは人それぞれだから、特に何か言うつもりは無いけど。



「こっちはヒーラーのエリア」

「よろしくお願いします」



 アミルとは打って変わって清楚な感じの少女だ。

 ポケっとした感じ……簡単に言うと、アホそう。

 アミルから向けられている露骨に冷たい視線にも気づく気配がない。



「僕たちはすぐにでも出られるけど……君たちは?」

「俺たちも特に準備はないぜ、な?ナミト」

「ああ……俺たちはないけど、そっちのアミルさん?弓を持ってませんが、いいんですか?」



 弓を使うと紹介されたのに、弓を持っていない。クエストを受けるのも今回が初めてのはずもなく、どう考えてもおかしい。



「…………忘れていたわ!いやね、私ったら!」



 アミルが小走りで弓を取りに行く。忘れていた……ただのおっちょこちょいなんだろうか。





 アミルが帰ってきたので、5人と1匹で森に向かう。



「おじ様ってすっごいムキムキですねえ。素敵ですわ」



 アミルが浩介を口説いている。こんなおっさんのどこがいいのかは知らないが、浩介は確かにムキムキだ。

 本人が意識してやっているのかは分からないが、身体強化が関係しているようだ。身体強化により筋肉の回復力が上がり、超回復が一般人より素早く、かつ強力になるらしい。



「ついたね。じゃあ、作戦を伝えるよ。ナミトとコウスケは魔術師であってる?」

「いや、俺は魔術を使えないんだ」

「俺は魔術師であってますよ」



 作戦なんか考えていたのか。パーティーが混ざると普段通りのチームワークを発揮できない可能性が高いだろうからな。



「え、コウスケは魔術師じゃなかったのかい?」

「ああ、おれは素手で格闘する。ていうか、この図体見て大体察しろよ」

「あはは、いや魔力量が半端ないって聞いてたから」

「で、作戦は?」

「ええと……コウスケが前衛なら……僕とコウスケでアークブルの突進を誘導するから、アミルとナミトでダメージを与えてくれ。角、脚の順番で破壊してくれると戦い易くて助かるよ」

「分かった」



 作戦を決めたうえで、森を進む。

 レミストのパーティーで油断していないのは、見たところエリアだけだ。レミストもアミルも、ピクニックにでも行くかのように見える。

 ヒーラーが気を張っていたって仕方がないだろうに。いざっていうときに迅速に対処するなら戦えるやつじゃないと。



「確かここらへんで目撃情報があったらしいけど……」

「そうですか……ちょっと見てみますね」



 俺はレーダーを発動する。

 ”印”を使っているので、ゴブリン討伐の時より素早く発動できる。

 ーーーーーースライム、スライム、スライム、ゴブリン、ゴブリンウィザード、ゴブリン、レッサーウルル、……アークブルはいない。一番脅威なのはレッサーウルルかな。動きは遅いが攻撃力は半端じゃない。



「ここにはアークブルはいないようですよ」

「おかしいなあ、確かにここで目撃情報があったはずなんだけどなあ。……アーサーブルは縄張りを張ってそこから出ないはずだから、目撃情報が間違っていたのかもしれないね」

「存在しない魔物を討伐しなきゃいけねえのか?」

「つまり、クエストは失敗、ということさ。ま、こんな日もあるよ」



 どうも違和感を感じる。クエスト失敗なら違約金が生じるだろうに、少しも気落ちしたそぶりを見せない(エリア以外は)。それに、俺の魔法や、目撃情報があった位置が間違っている可能性もある。なぜ少しも粘ろうとせずに、”クエスト失敗”と決定づける?



「ご主人様」



 ラフが小声で話しかけてくる。



「何だ?」

「この森、アークブルはおろか牛型の魔物がいた形跡が少しもありません」



 やはりか。アークブルが得意とする攻撃は、助走の長い突進だ。こんなに木が林立した場所ではそんな攻撃はできるはずもない。

 しかし、別の魔物をアークブルだと見間違えた、という可能性も低い。アークブルの特徴は、燃えるように赤い体毛だ。この森にいる多くの魔物の色は、茶色か緑。アークブルに見まがうような魔物はいないはずだ。



「じゃあ、残念だけど帰ろうか」



 そうだな、帰ろう。俺もギルドで確認したいことがある。

一話分ってどのくらいの長さがちょうどいいんでしょうか……私にはよく分からないのです

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